電束と発散
輪を傾けて電束を見る
一様な電場の電気力線が一方向に平行に通り、その中に輪が置かれています。スライダーで輪を傾けると、金色の法線が場となす角が変わり、場の方向に輪を投影した影である水色の楕円も一緒に縮みます。輪が場を正面から受けると通り抜ける量がいちばん大きく、縁を向けて立てると 0 になります。
電束、面を通る場
電束は、電場がある面をどれだけ通り抜けるかを数える量です。場を水の流れにたとえれば、網を通り抜ける水の量にあたります。一様な場の中で面を場と正面に向かい合わせると、通り抜ける量がいちばん大きくなります。
垂直な成分だけ数える
面を傾けると、通り抜ける量は cosθ の分だけ減ります。ここで θ は面の法線と場のなす角です。面が場と平行になると(θ=90°)、場は面をかすめるだけで通り抜けられず、電束は 0 です。結局、電束は場のベクトルと面ベクトルの内積で、Φ = E·A = EA cosθ と書きます。面ベクトル A は大きさが面積、向きが法線のベクトルで、図の水色の楕円の面積が、まさに場の側から見た有効面積です。
曲がった面、変わる場
面が曲がっていたり場が場所ごとに違ったりするときは、面を微小なかけら dA に細かく分け、かけらごとの電束 E·dA を求めて足します。それが面積分 Φ = ∫E·dA です。EM-04 で点電荷の場を棒の上で積分したように、ここでは場を面の上で積分します。
閉じた面と発散
面が空間をぐるりと囲んで閉じると、出ていく電束から入ってくる電束を引いたものが正味の電束で、∮E·dA と書きます。正味の電束が正なら、面の中に場を湧き出させる源、つまり正の正味電荷があり、負なら場を吸い込む負の正味電荷があります。正味の電束がなければ、中の電荷が打ち消し合っているか、まったくないかです。この正味の電束を囲んだ体積で割り、体積を限りなく小さくした極限が発散で、一点で単位体積あたりに湧き出す場の量を表します。次のユニットのガウスの法則が、まさにこの正味の電束と中に閉じ込められた電荷を結びつけます。
最初の画面に戻ると
最初の画面で、輪を場の正面に向けたとき電束がいちばん大きく、縁を向けて立てると 0 になりました。通り抜ける量を決めたのは、面の法線と場のなす角の余弦、つまり内積で、水色の影の楕円の面積がその大きさと一致しました。面を場の向きに投影した分だけ、場が面を通り抜けたのです。曲がった面や変わる場では、この内積を面の上で積分し、閉じた面では正味の電束が中の電荷を明らかにします。
閉じた面の正味の電束は、中の電荷に正比例します。次のユニットのガウスの法則(EM-06)がこれを Φ = Q/ε₀ と定め、発散定理(EM-07)が面積分と体積積分、つまり積分形と微分形をつなぎます。対称性がよければ、この法則だけで積分なしに電場が得られます。