回転とストークスの定理
輪とその内側をつなぐ
金色の輪が面の縁で、水色の格子が面を小さなセルに分けています。セルごとに小さな回転の印があり、ボタンで分割を増やすと、隣り合う二つのセルが接する辺では、一方のセルの循環と隣のセルの循環が灰色の矢印の対のように逆向きに流れて打ち消し合います。最後まで打ち消されずに残るのは、金色の縁の輪を回る循環だけです。
ループと内をつなぐ橋
アンペールの法則(EM-14)は、閉じた輪を回る循環 ∮B·dl について述べます。ストークスの定理は、この輪の循環が、輪を縁とする面の上のすべての点の回転を面積分した値に等しいと、二つをつなぎます。∮F·dl = ∫(∇×F)·dA。回転 ∇×F は、場が一点でどれだけ渦を巻いているかを測るベクトルです。同じ輪に張った面なら、平らでもふくらんでいても結果は同じで、この性質はあとで変位電流が必要になる理由へとつながります。発散定理(EM-07)が面と体積をつないだとすれば、ストークスの定理は輪と面をつなぎます。
なぜ成り立つか、隣の辺の相殺
面を小さなセルに分け、セルごとに小さな循環を求めてすべて足してみましょう。二つのセルが接する内側の辺では、一方のセルがその辺を一方向に回ると、隣のセルは同じ辺を逆向きに回ります。そのため内側の辺の寄与は対になって打ち消し合い、最後まで相手のいない辺は外側の境界の辺だけです。結局、すべてのセルの循環を足すと、境界の輪の循環だけが残ります。一つのセルの小さな循環をその面積で割った値が、まさに回転 ∇×F です。
回転、単位面積あたりの循環
セルを限りなく小さくすると、そのセルの循環を面積で割った値が一点の回転 ∇×F になります。単位面積あたりにその点で回る量です。回転はベクトルで、いちばん強く回る平面の法線の向きを指し、向きは右手で決めます。水に浮かべた小さな羽根車が一点でどれだけ、どの軸のまわりに回るかを測るのと同じです。発散が湧き出しを測ったとすれば、回転は渦を測ります。
アンペールの微分形
ストークスの定理をアンペールの法則に入れてみましょう。輪の循環 ∮B·dl は μ₀I で、内側は ∫(∇×B)·dA です。輪を通る電流 I は、電流密度を面にわたって積分した ∫J·dA です。すると ∫(∇×B)·dA = ∫(μ₀J)·dA がどんな面をとっても成り立つので、二つの被積分関数は等しくなければなりません。∇×B = μ₀J。一行の積分形が、各点で成り立つ微分形に変わったのです。発散定理がガウスの法則の微分形 ∇·E=ρ/ε₀ を与えたのと対をなす、もう一つのマクスウェル方程式です。
最初の画面に戻ると
最初の画面で、面を細かく分けるほど内側には接する辺がびっしり増えましたが、それらはすべて対になって打ち消し合いました。一つのセルが一方向に回ると、隣は逆向きに回ったからです。最後まで生き残ったのは外側の境界の辺だけで、だからすべてのセルの回転を足した面積分は、境界の輪の循環とぴったり等しくなります。∮F·dl = ∫(∇×F)·dA。この橋をアンペールの法則の上に置くと、微分形 ∇×B = μ₀J が出てきます。
ストークスの定理は、輪の積分と面積分のあいだを自由に行き来させてくれる道具です。この道具を身につけると、アンペールの法則の微分形 ∇×B = μ₀J が手に入り、発散定理(EM-07)の ∇· と対になって、ナブラ演算子の三つの使い方(∇, ∇·, ∇×)がそろいます。ファラデーの法則(EM-20)と変位電流(EM-21)を経て、マクスウェル方程式の微分形全体を支えます。