連続電荷の積分
かけらを増やして積分に近づく
電荷の棒をいくつのかけらに分けるかをボタンで選ぶと、各かけらがつくる小さな矢印 dE が頭から尾へとつながり、点 P の全体の電場 E になります。かけらが一つだけだと和は向きからずれますが、かけらを増やすと鎖の先が一点に集まります。表示器の収束度は、その和が真の値にどれだけ近いかを百分率で表します。
点から分布へ
一つの点電荷がつくる電場は EM-03 で見ました。電荷が棒や板のように連続して広がっていれば、それを多くの点電荷のかけらとみなせばよいのです。一つのかけらがつくる微小な電場は dE = k dq/r² r̂ です。全体の場はこの微小な場をすべて足したもので、限りなく細かく分けて行うその足し算が積分です。
かけらの電荷 dq
一つのかけらの電荷 dq は、電荷密度にそのかけらの大きさを掛けた値です。線電荷なら dq = λ dl、面電荷なら dq = σ dA、体積電荷なら dq = ρ dV です。ここで dl, dA, dV は EM-01 で選んだ微小要素なので、対称性に合う座標系を選べばこの積分もすっきりします。
和が積分になる
棒を N 個に分けると、N 個の微小な場をベクトルとして足した値が近似値になります。N を大きくしてかけらを限りなく細かくすると、和は一つの値に落ち着き、その極限が積分 E = ∫ k dq/r² r̂ です。電場はベクトルなので、実際の計算では成分ごとに別々に積分します。図の棒では、四つに分けただけで収束度がほぼ百パーセントに達しますが、それはかけらが小さいほど、各かけらを点電荷とみなす近似がよく合うからです。
向きも一緒に足される
微小な場 dE はベクトルなので、大きさとともに向きも足されます。対称性があれば、一部の成分は互いに打ち消し合います。とても長い直線電荷の中央の横では、線に沿う成分がすべて打ち消し合い、垂直な成分だけが残るので、答えが簡単になります。図の点 P は棒の端より外側にあるので、そのような打ち消し合いはなく、いくつもの向きの成分が残ります。積分を始める前に、どの成分が生き残るかを先に見ておくのがこつです。
最初の画面に戻ると
最初の画面で、かけらが一つのときは棒を中央の一点とみなしたことになり、矢印は向きからずれました。かけらを増やすと微小な場 dE が頭から尾へとつながり、和は一つの向き、一つの大きさに落ち着きました。その収束値が積分 E = ∫ k dq/r² r̂ です。積分とは結局、細かく分けた点電荷のつくる場を残らず足し合わせる作業です。
直接積分する方法はどんな分布にも使えますが、手間がかかります。対称性のよい分布には、もっと速い道があります。電場が閉じた面をどれだけ通り抜けるかを数える電束と発散(EM-05)、そしてガウスの法則(EM-06)に進めば、対称な分布の場を積分なしで求められます。