ビオ・サバールの法則
試験点を回して dB を見る
上へ流れる電流要素のまわりで試験点を回してみよう。電流と平行な側(上・下)で微小磁場 dB はどれだけか。電流に垂直な側ではどうか。dB はどちらを向くか。
磁場は電流が作る
静止した電荷は電場を作る(EM-03)。電荷が動くと、すなわち電流が流れると、そのまわりに新しい場が生じる。磁場 B だ。電線のそばに方位磁針を置くと、電流が流れている間だけ針が振れる。磁場は電荷の量ではなく、電荷の流れから生まれる。だから磁石も実は原子の中の電子の流れが作る。
ビオ・サバール、微小な磁場
電流の経路を短く切った一片を電流要素 I dl という。ビオ・サバールの法則は、この一片が距離 r 離れた点に作る微小磁場を与える。dB = (μ₀/4π) I dl × r̂ / r²。大きさは距離の二乗に反比例し sinθ に比例する(θ は電流方向とその点までの角)。向きは電流方向とその点までの方向の両方に垂直で、右手の法則で決まる。比例定数 μ₀ は真空の透磁率だ。
磁場は電流を取り巻く
電場は電荷から放射状に伸びていた。磁場は違う。外積 dl × r̂ のため、dB は電流を軸にぐるりと取り巻く。電流と平行な上・下(θ=0)では sinθ=0 で dB は 0、電流に垂直な横(θ=90°)で最も強い。だから直線電流のまわりの磁場は同心円を描く。右手の親指を電流の向きに立てると、残りの指が磁場の回る向きを指す。
全体の磁場 = 積分
一片の dB が分かれば、電流の経路全体に沿ってすべての一片の dB をベクトルとして足し、全体の磁場を得る。B = ∫ dB だ。EM-04 で点電荷の dE を電荷分布に積分したのとまったく同じ構造だ。たとえば無限に長い直線電流では、この積分が B = μ₀I/(2πr) ときれいに解け、磁場は距離に反比例する。対称性が良いときは、次のユニットのアンペールの法則がこの積分すら飛ばしてくれる。
最初の画面に戻ると
最初の画面で試験点を電流と平行な上・下へ動かすと dB は 0 に消え、電流に垂直な横へ動かすと最も大きくなった。大きさは sinθ に従った。そして dB は常に電流と試験方向が作る平面から抜け出し、電流を取り巻く向きを指した。外積 dl × r̂ の結果だ。この一片の dB を電流の経路に沿ってすべて足すと、全体の磁場 B になる。
ビオ・サバールの積分はどんな電流の形にも通用するが手間がかかる。対称性が良いときには近道がある。磁場を閉じたループに沿って足した ∮B·dl が、そのループを貫く電流に比例するというアンペールの法則(EM-14)だ。静電界のガウスの法則と同じく、直線・ソレノイド・トロイドの磁場を積分なしで取り出す。