pn接合: 自ら障壁を築く境界
接合が平衡に至る道
左は p 型で青い白抜きの円が正孔、右は n 型で金色の点が電子です。段階を進めると中央の境界にキャリアが抜けた帯ができ、その中に固定イオンの符号が現れ、そこに内蔵電界の矢印が現れます。正味の電流がいつ止まるのかを、段階を進めながら確かめてください。
貼り合わせた瞬間、拡散が始まる
n 側には電子が、p 側には正孔が圧倒的に多くあります。境界をはさんだ濃度差があまりに大きいので、くっつけた瞬間に電子は p 側へ、正孔は n 側へなだれ込むように渡ります。これが A3 で見た拡散です。
去った跡に固定イオンが現れる
キャリアが渡っても、それを出したドーパント原子は格子に埋め込まれていて動けません。A2 で見たように、電子を手放した n 側のドナーは正イオンとして、電子を受け取って正孔をつくった p 側のアクセプタは負イオンとして残ります。そのため境界付近はキャリアがいなくなり固定電荷だけが残った空乏層となり、両側の固定電荷の間に n 側から p 側へ向かう内蔵電界が生じます。
障壁が拡散を止める、平衡
内蔵電界は渡ろうとするキャリアを押し戻します。このドリフトが拡散と逆向きに育っていき、二つの大きさが等しくなると正味の電流は 0 になります。まさに A3 で予告した打ち消し合いです。そのとき空乏層の幅と内蔵電位障壁 Vbi はそれ以上増えずに止まり、その大きさは両側のドーピング濃度で決まります。自ら障壁を築いて拡散を止めたこの境界こそが、ダイオードの要です。
最初の画面に戻ると
接触の直後は正味の拡散がとても大きかったのです。キャリアが渡るほど固定イオンが現れて内蔵電界が育ち、その障壁がドリフトで拡散を押し戻しました。二つの大きさが等しくなると正味の電流は 0 になり、空乏層と障壁は育つのを止めました。外から何もしていないのに、境界が自ら障壁を築いて平衡をつくったのです。A2 の固定ドーパントイオンと A3 のドリフトと拡散の打ち消し合いが一か所で出会い、ダイオードの要を形づくります。
次へつながる流れ
これで障壁が手に入りました。次のまとまり B では、この障壁に外から電圧をかけます。順方向なら障壁が下がってキャリアがなだれ込み、逆方向なら障壁が上がって流れが止まります。一方向にだけ流れるこの非対称が、ダイオードの I-V 曲線と整流作用です。