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D1 · MOSFET

MOSFETの構造としきい値: 電圧がチャネルを開く

BJT が電流で操ったのに対し、MOSFET はゲートにかけた電圧だけでチャネルを開きます。このユニットでは、ゲート電圧を自分で上げながら、どのしきい値を超えた瞬間にソースとドレインをつなぐ道ができるのかを確かめます。

ゲート電圧を上げてチャネルを開く

いちばん上がゲート、その下の薄い帯が絶縁酸化膜、その下が p 形のボディで、両わきにソースとドレインがあります。ゲート電圧を上げると、しきい値 Vth より下では表面に何もありませんが、それを超えると電子が表面に集まって、ソースとドレインをつなぐ金色のチャネルが現れます。チャネルがはじめて現れる電圧を探してください。

ゲート-ソース電圧 VgsVgs = 0.3 V
チャネルの状態
Vgs = 0.3 V (Vth = 1.0 V)
Vov = Vgs - Vth = 0.0 V
Vgs がしきい値より下です。ゲートの電界が弱くて表面に電子が集まれず、ソースとドレインは切れています。
チャネルなし · 遮断

絶縁されたゲート、電流ではなく電界

MOSFET のゲートは、薄い酸化膜の絶縁層の上に載っています。絶縁膜がさえぎっているので、ゲートには直流電流が事実上流れません。ベースに電流を流さなければ動かなかった BJT とは正反対です。ゲートは電流の代わりに電界で働きます。電流がほとんど入らないので入力インピーダンスがとても大きく、信号源にほとんど負担をかけません。

しきい値を超えるとチャネルができる

ゲートの下のボディは p 形なので、表面には電子がほとんどありません。ゲートに正の電圧をかけるとその電界が正孔を押しのけ、少数キャリアである電子を表面へ引き寄せます。電圧が低いと引き寄せられる電子は少なすぎますが、あるしきい値を超えると表面に電子が十分集まって薄い n 形の層、つまり反転層ができます。この層が両側の n 形のソースとドレインをつなぐチャネルになり、ようやく電流の流れる道が開けます。

しきい値電圧Vthとオーバードライブ

チャネルができ始めるゲート電圧がしきい電圧 Vth です。その値は酸化膜の厚さ、ボディのドーピング、材料で決まります。Vgs が Vth を超えた分、つまりオーバードライブ Vgs - Vth が大きいほど多くの電子が引き寄せられ、チャネルは厚くなってより大きな電流を担えます。電流をほとんど食わない絶縁ゲートに電圧をかけるだけでチャネルを開け閉めするこのスイッチが、デジタルチップと電力変換を支えています。

観察Vov = Vgs - Vth
オーバードライブはしきい値を超えた分のゲート電圧。
選ぶQch ∝ Cox (Vgs - ?)
チャネル電荷はしきい値を超えた分だけに比例する。
空欄Ig ≈ ?
絶縁ゲートなのでゲート電流はほぼ0だ。
自分でVgs > ?
この条件を超えてはじめてチャネルが導通する。

最初の画面に戻ると

ゲート電圧がしきい値より下のとき、表面は空っぽでソースとドレインは切れていました。電圧を上げてしきい値を超えた瞬間、電子が表面へ引き寄せられ、金色のチャネルが二つの n 形の領域をつなぎました。その道を開いたのはゲートへ流れ込んだ電流ではなく、絶縁膜越しに働いたゲートの電界でした。しきい値はチャネルができ始める境目で、その上にさらに上げたオーバードライブがチャネルを厚くします。電流をほとんど食わずに電圧だけで流れを開け閉めするこのスイッチが、MOSFET の出発点です。

MOSFET は、電流ではなく電圧で制御するトランジスタです。ゲートが薄い絶縁酸化膜の上に置かれているので電流がほとんど流れず、入力インピーダンスがとても大きいのが特徴です。ゲート・ソース間電圧 Vgs がしきい電圧 Vth を超えると、ゲートの電界が少数キャリアを表面へ引き寄せ、ソースとドレインをつなぐチャネル(反転層)をつくります。Vth より下ならチャネルがなくてオフ、超えれば導通します。超えた分のオーバードライブ Vgs − Vth がチャネルの強さを決めます。

次へつながる流れ

しきい値を超えてチャネルを開きました。けれどもチャネルができたあと実際にどれだけ流れるかは、ドレイン電圧にも左右されます。次のユニットではドレイン電圧を上げながら、動作がどう分かれるかを見ます。チャネルが抵抗のようにふるまう線形領域と、チャネルの端が細くなって電流がそれ以上増えない飽和領域です。