利得とインピーダンス: 増幅器は隣に左右される
負荷を変えて利得が削られるのを見る
点線の山は負荷がないときの理想出力、太い曲線が実際の出力voutだ。負荷抵抗RLを小さくして重くかけてみよう。実際の出力が点線の内側に縮む。負荷を大きくすると再び理想値に近づく。
入力インピーダンス、ソースが見る抵抗
信号を与えるソースの立場で増幅器を覗くと、一つの抵抗に見える。コモンエミッタではこの入力インピーダンスは小信号入力抵抗rπがバイアス抵抗と並列になった値だ。ソースには常に自分の内部抵抗Rsがあり、入力インピーダンスと分圧を作る。入力インピーダンスが小さいと、ソース電圧の一部しかベースに届かず、最初から信号を失う。
出力インピーダンス、負荷が見る抵抗
逆に出力側、すなわちコレクタから増幅器の中を覗くと、負荷はもう一つの抵抗を見る。トランジスタの出力は理想的に無限大抵抗の電流源なので、負荷が見る出力インピーダンスは実質的にコレクタ抵抗Rcだ。だから負荷抵抗RLを付けると、それがRcと並んで、すなわち並列に付く。出力インピーダンスが小さいほど、同じ負荷を付けても電圧が削られにくい。
負荷が利得を削る
負荷RLがコレクタ抵抗Rcと並列になるので、信号電流が見る有効抵抗はRc || RLだ。だから実際の電圧利得はAv = -gm (Rc || RL)で、これは負荷がないときの-gm Rcより常に小さい。重い負荷、すなわち小さなRLほど並列値が減り利得が多く削られる。段をいくつも繋いで大きな利得を得るには、前段の出力インピーダンスが後段の入力インピーダンスより十分小さくないと信号を失う。だから増幅器を設計するとき、利得と同じくらいインピーダンスを考える。
最初の画面に戻ると
負荷を重くかけるほど実際の出力が点線の内側に縮み、負荷を軽くすると再び点線に近づいた。その点線は負荷がないときの理想利得-gm Rcで、実際の出力は常にそれより小さい-gm (Rc || RL)だった。削りを決めたのは負荷がコレクタで見た抵抗、すなわち出力インピーダンスRcと負荷RLの並列だ。同様に入力では入力インピーダンスとソース抵抗が分圧を作り信号を分ける。増幅器は決して独りでは生きず、利得は常に隣のインピーダンスと共に決まる。これでBJT増幅器の一巡りが終わった。
次へつながる流れ
BJTは小さな電流で大きな電流を操った。次の束では電流ではなく電圧で、すなわちゲートにかけた電界だけでチャネルを開閉するもう一つのトランジスタ、MOSFETに出会う。ゲートには電流がほとんど流れず入力インピーダンスが非常に大きいという点から、その構造としきい値電圧を最初のユニットで見る。