ドリフトと拡散: キャリアを動かす二つの手
仕組みを一つずつオンにする
横長の棒は半導体で、金色の点はキャリアです。電界だけをオンにするとオレンジの矢印が現れてすべての点が一方向へ押し流され、濃度差だけを置くと青い境界線の側の混み合った所から空いた所へ点が広がります。全体の電流をきちんと描くには何が必要か、ボタンを切り替えて確かめてください。
押す手、ドリフト
電界をかけるとキャリアはその力を受けて引っぱられます。ただし結晶の中で絶えず衝突するので限りなく速くはなれず、平均すると一定のドリフト速度にとどまります。この速度は電界に比例し、その比例定数を移動度と呼ぶので、キャリアが多く動きやすいほどドリフト電流は大きくなります。
にじむ手、拡散
キャリアはじっとさせておいても熱のためにでたらめに揺れています。片側に混み合っていると、その境目では内から外へ出ていく数が外から内へ入る数より多いので、押す力がなくても混み合った側から空いた側へ正味の流れが生じます。この流れは濃度勾配に比例し、その比例定数が拡散係数です。二つの係数はどちらも同じ熱運動から生まれるので、拡散とドリフトはアインシュタインの関係で結ばれます。
二つの和、そして相殺
ある点を流れる全体の電流は、ドリフト項と拡散項の和です。ふつうはどちらか一方が圧倒しますが、二つの項の大きさが等しく向きが逆になる特別な状態があります。そのとき正味の電流は 0 になり、まさにその釣り合いが次のユニットで pn 接合の内蔵電位をつくります。
最初の画面に戻ると
電界だけをオンにしたときも、濃度差だけを置いたときも、キャリアは確かに動きましたが、どちらも絵の半分でした。全体の電流は、押すドリフトと広がる拡散の和です。そしてこの二つが大きさが等しく向きが逆になって互いをちょうど打ち消すと正味の流れは止まり、その停止が接合の障壁をつくります。キャリアを動かす手は二つで、素子の動作はいつもこの二つの手の綱引きです。
次へつながる流れ
二つの手がぶつかる舞台が、まさに次のユニットです。n 型と p 型をつなぐと境界でキャリアが拡散で渡っていき、残された固定イオンが電界をつくってドリフトで押し戻します。二つがちょうど打ち消し合う所に、キャリアが空になった空乏層と内蔵電位が生まれ、それが A4 の pn 接合です。