seegongsik
A2 · 半導体の基礎

ドーピング: ひとつまみの不純物が多数キャリアを決める

純粋なシリコンは電気をほとんど通しません。このユニットでは不純物原子をごくわずか混ぜて、自由電子と正孔のどちらを多数派にするかを自分で選びます。

不純物が多数キャリアを決める

図はシリコンの格子で、各原子は隣と電子を二個ずつ出し合って結合しています。中央の原子を別の元素に替えると、解き放たれたキャリアが格子の間を流れていき、金色の点が自由電子、青い白抜きの円が正孔です。中央の原子を替えながら、自由電子を多数派にするのはどれかを探してください。

ボタンで中央の原子を替えます。
多数キャリアの関係
n0 = p0 = ni
すべての電子が結合に縛られています。熱で切れた数組だけが電子と正孔に分かれ、どちらも同じ数でわずかです。
拮抗した均衡

純粋なシリコンはほぼ絶縁体

シリコン原子は価電子が四つで、隣の四つの原子と二個ずつ出し合って結合をすべて埋めます。そのため室温では自由に動ける電子がほとんどありません。電流をつくるには結合を切らなければならず、それは A1 で見たバンドギャップを越えることと同じです。

5価の原子一つ = 自由電子一つ

リンやヒ素のように価電子が五つの原子を入れると、四つは結合に使われて一つが余ります。この余った電子は原子にごく弱くしか縛られていないので、室温の熱だけで解き放たれます。電子を手放した不純物原子はその場に固定された正イオンになりますが、解き放たれた電子と合わせれば結晶全体は中性のままです。これが n 型です。

3価の原子一つ = 正孔一つ、そして積は不変

ホウ素のように価電子が三つの原子を入れると、結合の席が一つ空きます。隣の結合の電子がその空席を埋めに移ってくると空席は横へずれ、そのため正電荷が一つ動いているように見えます。これが p 型です。一方のキャリアを増やすともう一方はその分減り、二つのキャリア濃度の積 n p = ni² は、温度が同じならドーピングに関係なく一定です。

観察n0 p0 = ni²
ドーピングしても二つの濃度の積は変わらない。
選ぶn0 ≈ ? (n)
n 型の多数キャリア濃度はドナー濃度で決まる。
空欄p0 ≈ ni² / ?
少数キャリア濃度は積を多数キャリア濃度で割った値。
自分でp0 ≈ ? (p)
p 型ではアクセプタ濃度が正孔濃度を決める。

最初の画面に戻ると

自由電子を多数派にしたのは5価のドナー、つまり n 型でした。鏡のように3価のアクセプタは正孔を多数派にして p 型となり、純粋なシリコンは電子と正孔が同じ数でわずかなまま釣り合っています。どちらにしても加えたのはごくわずかな不純物なのに、多数キャリアがまるごと入れ替わりました。それでいて、その場に固定されたイオンが去ったキャリアの電荷をちょうど埋め合わせ、結晶は最後まで中性です。多数キャリアを選ぶつまみは、不純物の価電子の数ただ一つです。

ドーピングは、純粋な半導体に価電子の数が異なる不純物をごくわずか混ぜることです。5価のドナーは自由電子を多数派にして n 型(n0 ≈ ND)を、3価のアクセプタは正孔を多数派にして p 型(p0 ≈ NA)をつくります。温度が決まれば質量作用の法則 n0 p0 = ni² により二つの濃度の積は一定で、結晶は電気的に中性を保ちます。

次へつながる流れ

これで二種類のキャリアが手に入りました。次のユニット A3 では、これらのキャリアが動く二つの仕方、つまり電界に押されるドリフトと濃度差で広がる拡散を見ます。その二つが n 型と p 型の境界でぶつかり合う場所が、まさに A4 の pn 接合の空乏層です。