B1 · ダイオード
ダイオードI-V: 一方向だけに流れる弁
pn接合に外部電圧をかけると流れはどう変わるか。電圧を逆方向から順方向へ自分で掃き、片側だけに急増する非対称を見る。
電圧を掃いて曲線をたどる
スライダーでダイオードにかかる電圧を変えてみよう。動作点が曲線上を動く。逆方向ではほぼ平らで、順方向ではある点から急に立ち上がる。
印加電圧 VV = -0.30 V
動作点電流 I
I ≈ -Is (≈ 0)
障壁がさらに高くなった。わずかな飽和電流 -Is 以外はほとんど流れない。
逆方向 · 遮断
外部電圧が障壁を動かす
A4で接合は自ら内部障壁を立てた。ここに外部電圧を加える。p側に正、n側に負をかければ(順方向)外部電圧が内部障壁を削って下げ、逆にかければ(逆方向)障壁をさらに高くする。流れを決めるのは結局、キャリアが越えるべき障壁の高さだ。
順方向、電流が指数的に立ち上がる
障壁を越えるキャリア数は障壁の高さに指数的に掛かる(A1のボルツマン因子と同じ形)。だから順方向電圧が障壁を少し下げるだけで電流は爆発的に増える。シリコンダイオードでは約 0.7 V 付近で曲線が膝のように折れ、急に立ち上がる。これがショックレー式の exp(V/VT) 項だ。
観察I = Is (exp(V/VT) - 1)
ショックレー式がダイオード電流の全体を担う。
選ぶVT = ? (≈ 26 mV)
熱電圧は kT/q、常温で約 26 mV。
空欄V << 0 → I ≈ ?
深い逆方向では指数項が消え -Is だけが残る。
自分でV >> VT → I ≈ ?
順方向では指数項が圧倒して急増する。
逆方向と整流
逆方向では障壁がさらに高くなり、多数キャリアはほとんど越えられず、ごく小さな飽和電流 -Is だけが流れる。つまりダイオードは順方向に大電流、逆方向にほぼ0の一方向弁だ。交流をかけると正の半周期だけを通し、脈流の直流に変える。これが整流で、あらゆる電源アダプタの最初の段だ。
最初の画面に戻ると
スライダーを逆方向に置くと曲線は平らで、順方向へ押すとある膝を過ぎて急に立ち上がった。同じ素子なのに電圧の向き一つで流れが全く変わる。その非対称の根はA4の障壁だ。外部電圧は障壁を削るか高くするだけで、障壁を越えるキャリア数が指数的に応じるため曲線は片側だけに急増する。この一方向弁こそ、交流を直流に変える整流の核だ。
ダイオードはpn接合に外部電圧をかけた一方向弁だ。順方向は内部障壁を下げ電流が指数的に急増し、逆方向は障壁を上げ微小な飽和電流 -Is だけが流れる。片側だけに流れるこの非対称が交流を脈流直流に変える整流だ。ショックレー式 I = Is (exp(V/VT) - 1)、熱電圧 VT = kT/q。
次へつながる流れ
一方向弁を手にした。次のユニットではこの弁で信号の形を作る。ある電圧を超える部分を切り取るクリッピングと、波形全体の基準線を移すクランピングだ。同じダイオード一つのオンとオフが信号を加工する道具になる。