コモンソース増幅器: 同じ利得、開いた入力
ドレイン抵抗を大きくして利得を作る
薄い曲線がゲート入力vin、太い曲線が出力voutだ。ドレイン抵抗Rdを大きくすると出力が大きくなり、入力が上がると下がる反転した形を描く。ゲートは電流を食わないので入力信号はそのまま乗る。
ゲート信号がドレイン電流を揺らす
入力信号をゲートに乗せると動作点の上に小さなvgsが足される。D3で見たとおり、この小さな電圧はドレイン信号電流id = gm vgsを作る。重要な違いがここにある。ゲートは絶縁され電流を吸わないので、前にある信号源は何の負担もなく電圧をそのままゲートにかける。BJTのベースが電流を要求したのと正反対だ。
その電流がRdで電圧になり反転する
このドレイン信号電流はドレイン抵抗Rdを通る。オームの法則でRd両端の電圧がid Rdだけ揺れる。出力はドレインから取り出すが、ドレイン電圧は電源VddからId Rdを引いた値だ。だから信号電流が増えるとドレイン電圧はむしろ下がる。入力が上がると出力が下がる反転出力、vout = -id Rdだ。共通エミッタ(C4)でコレクタがした仕事を、ここではドレインが同じくする。
Av = -gm Rd、そして開いた入力
id = gm vgsをvout = -id Rdに入れると電圧利得Av = -gm Rdが出る。共通エミッタの-gm Rcと全く同じ形だ。だが二つが異なる。第一に、MOSFETのgmは電流の平方根でしか伸びず(D3)、同じ電流では普通BJTより利得が低い。第二に、ゲートが絶縁され入力インピーダンスがほぼ無限大なので、この増幅器は前段から信号をほとんど奪わない。生の利得はBJTに譲っても、前段に負担をかけないこの高い入力インピーダンスがMOSFET増幅器の大きな強みだ。
最初の画面に戻ると
ドレイン抵抗を大きくするほど出力が大きくなり、入力が上がるたびに下がって反転した形を描いた。その計算は共通エミッタと全く同じだった。ゲートの小さな電圧がドレイン信号電流gm vgsになり、その電流がドレイン抵抗Rdを通って電圧になりドレイン電圧を引き下げた。二つを掛けた-gm Rdが電圧利得だ。異なる点は二つ。MOSFETのgmが小さく生の利得は低いが、絶縁ゲートのおかげで入力が電流を食わず前段にほとんど負担をかけない。大きな利得はBJTに、大きな入力インピーダンスはMOSFETに——設計者はこの二つの間で選ぶ。
次へつながる流れ
これまでMOSFETをアナログ増幅に使った。だがMOSFETが世界を変えた舞台はデジタルだ。次のユニットではNMOSとPMOSを上下に組み、入力が0か1かで二つのうち一つだけが入るCMOSインバータを作る。出力が完全に反転しながらも、静止状態では電流がほとんど流れず電力をほとんど使わない。