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C4 · BJT

コモンエミッタ増幅器: 小さな入力が大きな反転出力に

小信号モデルを実際の回路に組み込んで、はじめて電圧利得をつくります。このユニットではコレクタ抵抗を自分で大きくしながら、出力が入力の何倍になるのか、そしてなぜ反転するのかを確かめます。

コレクタ抵抗を大きくして利得をつくる

薄い曲線は小さな入力、太い曲線は出力です。コレクタ抵抗を大きくすると出力はだんだん大きくなりますが、入力が上がると出力は下がる、反転した形です。抵抗を大きくして出力が入力よりずっと大きくなるのを確かめつつ、山が上下の限界に届いて切れ始める点もあわせて見てください。

コレクタ抵抗 RcRc = 0.10 kΩ
電圧利得 Av
Av = -gm Rc = -19
Rc が小さい。信号電流が小さな抵抗でつくる電圧も小さく、出力は入力とあまり変わりません。
利得が小さい

入力がベースを揺らすとコレクタ電流が揺れる

入力信号をコンデンサを通してベースに乗せると、動作点の上に小さな vbe が加わります。C3 で見たとおり、この小さな電圧は信号電流 ic = gm vbe をつくります。トランジスタが入力電圧の揺れを、それに比例する電流の揺れに変えたわけで、ここまではまだ電圧ではなく電流だという点が大事です。

その電流がRcで電圧になり、反転する

この信号電流はコレクタ抵抗 Rc を通り、オームの法則により Rc の両端電圧が ic Rc だけ揺れます。出力はコレクタから取り出しますが、コレクタ電圧は Vcc から Ic Rc を引いた値なので、信号電流が増えるとコレクタ電圧はかえって下がります。入力が上がると出力が下がるので、出力は入力を反転して大きくした写しです。vout = -ic Rc。

電圧利得 Av = -gm Rc

ic = gm vbe を vout = -ic Rc に入れると、電圧利得 Av = vout/vin = -gm Rc が出てきます。gm は C2 で選んだ動作点電流が決め、Rc は設計者が選ぶので、この二つで利得が決まります。負の符号は位相が 180度反転することを表します。だからといって出力はどこまでも大きくはなれません。出力が揺れられる幅は C2 の動作点の余裕に縛られていて、gm Rc が大きすぎると山が電源にぶつかって切れます。利得と振幅は引き換えです。

観察vout = -ic Rc
出力電圧は信号電流がRcで作る電圧で、符号が逆だ。
選ぶic = gm ?
信号電流はトランスコンダクタンスと入力電圧の積。
空欄Av = voutvin = -gm ?
利得はトランスコンダクタンスとコレクタ抵抗の積に負の符号をつけた値。
自分でAv = -(IcVT) ?
gmを展開すると、利得は動作点電流とRcで決まる。

最初の画面に戻ると

コレクタ抵抗を大きくするほど出力はだんだん大きくなり、入力が上がるたびに出力は下がって反転した形を描きました。その下には二つの段階があります。小さな入力電圧がトランジスタを通ってまず信号電流 gm vbe になり、その電流がコレクタ抵抗を通って ic Rc の電圧になり、コレクタ電圧を引き下げたのです。二つを掛けた -gm Rc が電圧利得です。けれども大きくしすぎると山が電源に届いて切れたので、利得はいつも C2 の振幅の余裕といっしょに決まります。小信号モデルが、ついに増幅という計算として完成しました。

エミッタ接地増幅器は、小信号モデル(C3)を回路に組み込んだものです。入力 vin がベースを揺らして信号電流 ic = gm vbe をつくり、この電流がコレクタ抵抗 Rc を流れて vout = -ic Rc をつくります。電流が増えるとコレクタ電圧が下がるので、出力は反転します。電圧利得は Av = vout/vin = -gm Rc。gm と Rc が大きいほど利得は大きくなりますが、出力の振幅は C2 の動作点の余裕に縛られていて、行きすぎるとクリッピングされます。

次へつながる流れ

これで電圧利得を一つ手にしました。けれども増幅器は単独ではありません。前には信号を送るソースが、後ろには信号を受ける負荷がつながります。次のユニットでは、増幅器がソースと負荷からどう見えるか、つまり入力インピーダンスと出力インピーダンスを扱い、それが実際の利得をどう削り、どう決めるかを見ていきます。