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C1 · BJT

BJTの動作原理: 小さなつまみが大きな流れを握る

ごく小さなベース電流で、ずっと大きなコレクタ電流を操る素子がトランジスタです。このユニットでは、ベース電流を自分で上げながら、コレクタ電流が何倍についてくるかを確かめます。

ベース電流でコレクタの流れを大きくする

図はトランジスタの断面で、左からエミッタ、中央の薄いベース、右のコレクタです。エミッタが注ぎ込む金色のキャリアは、ベースが薄いためにほとんどがコレクタへ掃き出され、ごく一部だけが下のベース端子へ抜けます。ベース電流を上げると、コレクタへ向かう束がその何倍にも太くなります。

ベース電流 IbIb = 2 μA
小さなIbが大きなIcを制御
Ib = 2 μA → Ic = 0.2 mA
β = Ic / Ib = 100
ベース電流がほぼ 0 です。エミッタがキャリアをほとんど送らないので、コレクタにも電流が流れません。
ほぼオフ

薄いベースを挟む二つの接合

BJT は pn 接合二つを背中合わせにしてつくります。中央に薄いベースを置き、一方は濃くドーピングしたエミッタ、もう一方はコレクタです。動作させるときは、エミッタ側の接合を順方向に、コレクタ側の接合を逆方向にバイアスします。ダイオード二つをただつないだものと違うのは、ベースがとても薄いという点です。

薄いベースが秘密だ

順方向のエミッタ接合は、キャリアをベースへ大量に注ぎ込みます。ベースは薄く薄めにドーピングされているので、キャリアはベースを横切る間にほとんど再結合できず、逆方向のコレクタ接合の強い電界がそれらをほぼすべてコレクタへ掃き集めます。ベースで再結合してベース端子へ抜けるのは百に一つほどで、その小さな分がまさにベース電流です。

電流制御、小さなつまみで大きな流れ

再結合の割合が一定なので、コレクタ電流はいつもベース電流の同じ倍数です。その倍数が電流利得 β で、ふつうは百前後です。ベース電流を少し上げるだけで、コレクタ電流が β 倍ついて上がります。小さなベース電流というつまみで大きなコレクタの流れを握るこの電流制御が、次のユニットでつくる増幅の土台です。ただし β は同じ型番のトランジスタどうしでも大きくばらつくので、実際の回路は β の値に頼らないように設計します。

観察Ic = β Ib
コレクタ電流はベース電流のβ倍だ。
選ぶIe = Ic + ?
エミッタ電流はコレクタ電流とベース電流の和。
空欄Ie = (β + ?) Ib
合わせると、エミッタ電流はベース電流の (β+1) 倍。
自分でα = Ic / Ie = β / ?
αはコレクタをエミッタで割った値で、1に近い。

最初の画面に戻ると

ベース電流を上げるたびに、コレクタへ向かう金色の束がその何倍にも太くなりました。その太さを決めたのは薄いベースで、エミッタが注ぎ込んだキャリアが薄いベースを再結合せずに横切り、ほとんどがコレクタへ掃き出されたからです。ベースへ抜けるひとつかみがベース電流、コレクタへ向かう束がコレクタ電流で、二つの比がまさに β です。小さなつまみで大きな流れを握るこの電流制御が、トランジスタの本質です。

BJT は、ごく薄いベースをはさんだ二つの pn 接合です。順方向のエミッタがキャリアをベースへ注ぎ込み、ベースが薄いのでほとんどが再結合せずに逆方向のコレクタへ掃き出されます。そのため小さなベース電流が β 倍大きなコレクタ電流を制御します(Ic = β Ib)。この電流利得が増幅の土台で、Ie = (β+1) Ib、α = β/(β+1) ≈ 1 です。

次へつながる流れ

電流利得が手に入りました。ただしこの利得を使うには、トランジスタをあらかじめオンの状態、つまり適当なベース電流とコレクタ電流が流れる一点に据えておかなければなりません。次のユニットでは、抵抗でその動作点を決める DC バイアスを見ます。信号を大きくする前に、大きくする場所をまず用意する作業です。