seegongsik
C2 · BJT

DCバイアス: 揺れる前にまず居場所を決める

トランジスタを増幅に使うには、まず活性領域の一点に据えておかなければなりません。このユニットでは、バイアスを自分で変えながら、動作点が負荷線のどこに置かれたとき信号が最も大きく揺れられるかを探します。

負荷線の上で動作点を動かす

傾いた直線が負荷線で、コレクタ電流とコレクタ・エミッタ間電圧はいつもこの線の上にそろって乗ります。バイアスを変えると動作点が線に沿って滑り、左上の端が飽和、右下の端が遮断です。信号が最も大きく揺れられる位置はどこかを探してください。

バイアスのベース電流 IbIb = 8 μA
動作点 Q
Vce = 9.2 V Ic = 0.8 mA
動作点が遮断の近くです。Vce がほとんど Vcc まで達しているので、下がる余裕は大きいのに上がる余裕はほとんどありません。
端 · 揺れられない

負荷線、コレクタ回路の約束

コレクタ側では、電源 Vcc と抵抗 Rc がトランジスタと直列につながっています。このループにキルヒホッフの電圧則を当てはめると Vcc = Ic Rc + Vce、つまり Vce = Vcc - Ic Rc となり、これが Ic と Vce の平面上の直線、負荷線です。一方の端は Ic が 0 の遮断(Vce = Vcc)、もう一方の端は Vce がほぼ 0 の飽和(Ic = Vcc/Rc)です。トランジスタの動作点は必ずこの線の上のどこかにあります。

動作点Qはバイアスが決める

負荷線のどの点に座るかは、ベースに流すバイアス電流で決まります。バイアスが Ib を決めると C1 で見た Ic = β Ib がコレクタ電流を決め、その Ic が負荷線と交わる位置が動作点 Q です。バイアスが少なすぎると Q は遮断側へ下がってトランジスタがオフになり、多すぎると飽和側へ上がって Vce が底に張りつき、それ以上動けなくなります。

真ん中が良い、スイングの余地

のちに信号を入れると、動作点を中心に Vce が上下に揺れます。Q が片方の端に近すぎると、揺れはすぐに遮断か飽和にぶつかって切り取られます(クリッピング)。上下の余裕が等しくなる負荷線のちょうど中央、つまり Vce が Vcc の半分ほどのとき、信号は両側へ最も大きく揺れられます。よいバイアスは β や温度が変わっても Q が大きく動かないことが必要で、ふつうはエミッタに抵抗を入れてこの安定を得ます。

観察Vce = Vcc - Ic Rc
負荷線はコレクタ回路に立てた KVL。
選ぶIc,sat = Vcc / ?
飽和端ではVce=0なのでIcはVccをRcで割った値だ。
空欄Ic = β ?
動作点のコレクタ電流は、バイアスで決めた Ib の β 倍。
自分でVce,Q ≈ ?
最大スイングはVceがVccの半分のときだ。

最初の画面に戻ると

バイアスを少なくしたとき、動作点は遮断に近い右下の端にぶら下がり、上へ揺れる余裕がありませんでした。多くすると飽和側の左上の端に張りつき、下へ揺れる余裕が消えました。負荷線の中央に置いたときにはじめて、上下の余裕が等しくなりました。動作点はいつも負荷線の上にあり、その位置はバイアスが決め、最もよい場所は信号が両側へ思いきり揺れられる中央です。次は、その場所で小さな揺れがどう大きくなるかを見る番です。

トランジスタを使うには、まず DC バイアスで動作点(Q 点)を活性領域に据えなければなりません。コレクタ回路の KVL が負荷線 Vce = Vcc - Ic Rc を決め、バイアスが Ib(したがって Ic = β Ib)を決めて、負荷線上の一点を選びます。Q 点を負荷線の中央(Vce ≈ Vcc/2)に置くと、信号は遮断や飽和にぶつからずに最も大きく揺れます。よいバイアスは β や温度の変化に対しても安定でなければなりません。

次へつながる流れ

これでトランジスタは活性領域の一点に安定して座っています。次のユニットでは、その点のまわりの小さな揺れだけを切り出し、大きな DC はひとまず忘れて、動作点の近くでトランジスタを線形素子として見る小信号モデルを扱います。そこで、小さな入力がどのように大きな出力へ育つのか、増幅の計算が始まります。