CR · 直流解析
重ね合わせの定理
複数の電源が同時に働く線形回路を、電源を一つずつ入れた簡単な問題に分けてから、その結果を足し合わせる方法を、このユニットで学びます。部分応答を足した値が全体の応答とぴったり等しいことも、自分で確かめます。
電源を一つずつ入れて足す
左に V₁ と R₁、右に V₂ と R₂ があり、中央の R₃ の枝を流れる電流 I を測ります。電源のボタンをオフにすると、その電源は図の中で短絡した導線に変わります。電源を一つずつ入れたときの電流をそれぞれ書き留め、両方入れたときの電流と比べます。
中央の枝の電流 I
I = 1.5 A
I = 1.0 + 0.5 = 1.5 A
両方 · 和 = 全体 ·
線形だから足せる
線形回路では、入力を二倍にすると出力もちょうど二倍になり、二つの入力を足して入れると、それぞれの出力を足したものが出てきます。この比例性と加法性のおかげで、電源がいくつあっても一つずつ別々に解いて結果を足せば済みます。ダイオードのような非線形素子が入ると、この定理は成り立ちません。
一つだけ残し他を0に
一つの電源の寄与だけを見るには、ほかの電源を 0 にします。電圧源を 0 V にするとは両端を導線でつなぐ短絡のことで、電流源を 0 A にするとは切り離しておく開放のことです。電源がもつ内部抵抗は、回路にそのまま残しておきます。この図では V₂ をオフにするとその場所が短絡の導線になり、V₁ だけが作る電流が見えます。
部分応答を符号ごと足す
各電源が単独で作る電流を、同じ枝で、同じ基準の向きに求めてから、向きに応じた符号までそろえて足すと、全体の電流になります。ある電源がその枝に逆向きに電流を押し込むなら、その分は引くことになります。ここでは二つの電源が R₃ の枝に同じ向きに電流を押すので、1.0 A と 0.5 A がそのまま足されます。
観察I = I1 + I2
全体の応答は部分応答の和です。
選ぶI1 = ?
V₁ だけのときに流れる電流。
空欄I2 = ?
V₂ だけのときに流れる電流。
自分でI = 1.0 + 0.5 = ?
二つの部分電流を足すと全体の電流です。
最初の画面に戻ると
電源を一つだけ入れたとき、中央の枝には 1.0 A か 0.5 A が流れ、両方入れるとちょうどその和の 1.5 A が流れました。二つの電源をまとめて解かなくても、電源一つの簡単な回路を二回解いて足すだけで済んだのです。回路が線形でありさえすれば、複雑な多電源の問題はいつでもこうして分けられます。
重ね合わせの定理は、線形回路の中のどんな電流や電圧も、各独立電源が単独で作る応答の和に等しいという定理です。一つの電源だけを残してほかは 0 にしますが、電圧源は短絡、電流源は開放し、内部抵抗は残します。比例性と加法性が成り立つ線形回路でだけ使えます。