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CR · 帰還

負帰還と利得の鈍感化

オペアンプの仮想短絡は、なぜあれほどよく当てはまるのでしょうか。答えは負帰還にあります。とてつもなく大きな素の利得 A を帰還で削ると、閉ループ利得は増幅器ではなく帰還回路 β で決まるようになります。このユニットでは、A が揺れて変わっても出力がびくともしない、その利得の鈍感化を学びます。

生の利得を大きくするほど利得は 1/β に固定される

素の利得、つまり開ループ利得 A を動かすと、曲線上の点がそのときの閉ループ利得へ移ります。負帰還をかけた閉ループ利得は G = A/(1+Aβ) で、β は出力のうち入力へ帰還させる割合です。A が小さいと G も小さいのですが、ループ利得 Aβ が 1 よりずっと大きくなると G は A に関係なく 1/β に近づいて止まります。β = 0.1 なので理想利得は 10 で、緑の点線がその高さです。A を大きくして、閉ループ利得を理想値 10 に届かせてください。

生の利得 A(開ループ)A = 5
閉ループ利得 G = A/(1+Aβ)
G = 3.34 · Aβ = 0.5
1/βから遠い

帰還が利得を削る

増幅器の素の利得 A はとてつもなく大きい一方、部品ごとに違い、温度や周波数で揺れるので、そのままでは信頼して使えません。負帰還は出力の一部 β を入力から引いて戻します。すると増幅器が実際に受ける入力が減り、閉ループ利得は G = A/(1+Aβ) と素の利得より小さくなります。分母の Aβ をループ利得と呼び、信号が増幅器と帰還回路をひと回りするときに掛かる全体の大きさです。

ループ利得が大きいと増幅器が消える

ループ利得 Aβ が 1 よりずっと大きいと、分母は 1+Aβ ≈ Aβ となり、G = A/(Aβ) = 1/β に簡単になります。閉ループ利得から A が約分されて消えたのです。そのため利得は増幅器の気まぐれな A ではなく、抵抗いくつかで精密に決めた帰還の割合 β の逆数になります。非反転増幅器で 1/β = 1 + Rf/Rg が利得だったのはまさにこの結果で、仮想短絡も結局は同じ話を回路の言葉に置き換えたものです。

鈍感化が精度を買う

A が二倍に跳ねても、閉ループ利得はほとんど変わりません。正確には、G の相対変化は A の相対変化の 1/(1+Aβ) に縮み、ループ利得が大きいほど鈍感になります。そのため、安くて巨大だが不正確な素の利得を、負帰還によって小さいが精密で安定な利得に替えて使います。理想オペアンプの仮想短絡があれほどよく当てはまる理由もここにあり、A が事実上無限大なのでループ利得が圧倒的に大きく、閉ループ利得が 1/β に完全に固定されるからです。負帰還は、余った利得を精密さと安定性に替える取引です。

観察G = A/(1+Aβ)
閉ループ利得の定義。
選ぶAβ >> 1 → G ≈ ?
ループ利得が大きければ G は 1/β。
空欄β = 0.1 → 1/β = ?
β の逆数が理想利得。
自分で(dG/G)/(dA/A) = ?
大きなループ利得が A の変動を鈍感にする。

最初の画面に戻ると

素の利得 A を動かすと閉ループ利得 G は最初は一緒に大きくなりましたが、ループ利得 Aβ が 1 を超えると G はそれ以上大きくならず、緑の点線の理想値 1/β = 10 に近づいて止まりました(β = 0.1)。横軸の端まで A をさらに大きくしても、G は 10 あたりからびくともしませんでした。閉ループ利得から A が約分されて消え、精密な β だけが残ったのです。巨大だが信頼しにくい素の利得が、負帰還を経て小さいが信頼できる利得に変わり、オペアンプ回路が仮想短絡できれいに解けた理由がまさにこの鈍感化です。

負帰還をかけた増幅器の閉ループ利得は G = A/(1+Aβ) です。A は素の利得(開ループ利得)、β は出力のうち入力へ帰還させる割合です。ループ利得 Aβ が 1 よりずっと大きいと A が約分されて G ≈ 1/β となり、利得は気まぐれな増幅器ではなく精密な帰還回路 β で決まります。さらに A が変わっても G の相対変化は 1/(1+Aβ) に縮んで鈍感になります。この利得の鈍感化が、巨大だが不正確な素の利得を小さいが精密で安定な利得に替え、理想 op-amp(A→∞)で仮想短絡が成り立つ根拠です。