高調波合成とフーリエ
サインを順に足して矩形波を組み立てる
太い線はここまで足したサインの和、薄い点線は近づけたい矩形波です。いちばん左のボタンでは基本波一つだけなので、太い線は丸いサインのままです。ボタンを右へ移すほど高い奇数高調波が順に加わります。和が点線の平らな頂上と急な角にどこまで沿うかを比べてください。
材料になるのは整数倍の周波数だけ
周期 T の波形をサインで組み立てるには、足すサインもすべて T ごとに元の形へ戻らなければなりません。そうなるのは周波数が基本周波数の整数倍のサインだけなので、材料に使えるのは 2倍、3倍、4倍といった周波数です。基本周波数のサインを基本波、その整数倍を高調波と呼び、高調波一つひとつの振幅と位相を適切に選べば、その和が望む形を描きます。波形ごとにどの振幅を選べばよいかを求める計算がフーリエ級数です。
矩形波には奇数高調波だけが含まれる
矩形波は半周期ずらすと、上下が反転した同じ形になります。このような波形では偶数高調波の振幅がすべて 0 になって奇数高調波だけが残り、n 次高調波の振幅は 1/n で小さくなります。そのため矩形波は sin(ωt) + (1/3)sin(3ωt) + (1/5)sin(5ωt) + … の形に書けます。次数が高いほど少しずつしか足されませんが、角を急に立てる役目はこの小さな項が担います。図で次数を上げても角のすぐ横には小さく跳ね上がった突起が残り、項を増やすとその幅は狭くなるものの高さは下がりません。これをギブズ現象といいます。
正弦波解析があらゆる周期信号へ広がる
ここでインピーダンスと周波数応答が生きてきます。線形回路が周波数ごとにサインの大きさと位相をどう変えるかがわかれば、どんな入力も高調波に分けて一つずつ通し、もう一度足して出力を得られます。高い周波数を削るフィルタに矩形波を入れると高い高調波が減って角が丸くなりますが、図で次数を下げたときの形はその結果によく似ています。サイン一つを正しく扱えれば、事実上すべての周期信号を扱えるということです。
最初の画面に戻ると
いちばん左のボタンで丸いサインだった太い線は、奇数高調波が一つ加わるたびに頂上が平らに、角が急になり、点線の矩形波に寄り添っていきました。高調波の振幅は 1/n で小さくなりましたが、角を立てるにはその小さな項が一つ残らず必要でした。複雑に見える波形も結局はサインの和だという事実のおかげで、サイン一つで回路を解く道具がそのまま任意の周期信号に使えます。