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CR · 最大電力

交流最大電力と共役整合

直流では、負荷を内部抵抗と等しくすると最大電力が負荷へ届きました。交流では抵抗を合わせるだけでは足りません。電源と負荷のリアクタンスが直列に足されて電流を減らすからです。このユニットでは、まずリアクタンスを打ち消し、次に抵抗を合わせる共役整合を学びます。

リアクタンスを相殺すると電力が跳ね上がる

電源インピーダンスは Z_s = 4 + j4Ω で、負荷抵抗はすでに R_L = 4Ω に合わせてあります。負荷リアクタンス X_L を動かすと、曲線上の点がそのときの負荷電力の位置へ移ります。電源と負荷のリアクタンスは直列に足され、その和 X_s + X_L が 0 になると、つまり X_L = −4Ω になるとインピーダンスの虚部が消えて電流が最大になり、電力が山の頂に達します。二本の点線が交わる頂に点を乗せて、負荷電力を最大にしてください。

負荷リアクタンス X_LX_L = 2.0 Ω
負荷電力 P
P = 4.00 W · X_s + X_L = 6.0 Ω
整合から遠い

交流では抵抗だけでは足りない

直流の最大電力伝送は R_L = R_th 一つで済みました。交流では電源も負荷もリアクタンスをもち、電流の大きさは二つのインピーダンスを合わせた大きさ |Z_s + Z_L| = √((R_s+R_L)² + (X_s+X_L)²) で決まります。分母のリアクタンスの和 X_s + X_L が 0 でなければインピーダンスが大きくなって電流が減り、その分負荷電力も減ります。そのため抵抗を合わせるだけでは最大に届かず、隠れているリアクタンスから先に処理しなければなりません。

まずリアクタンスを相殺する

負荷リアクタンス X_L を電源リアクタンス X_s と大きさが同じで符号が逆になるようにすると(X_L = −X_s)、二つは直列でちょうど打ち消し合い、和は 0 になります。インダクタの +jX とコンデンサの −jX が互いを消す直列共振と同じことです。電源が誘導性(+j4)なら負荷に同じ大きさの容量性(−j4)を入れて消し、すると回路のインピーダンスには虚部がなく純抵抗 R_s + R_L だけが残って、直流のようにふるまいます。残る仕事は抵抗の整合だけです。

共役インピーダンスで最大

リアクタンスを消したあと抵抗を R_L = R_s に合わせると、直流のときと同じく最大電力が負荷へ届きます。二つの条件を合わせると、負荷は電源インピーダンスの共役でなければなりません。Z_L = Z_s* = R_s − jX_s。そのとき電流が最大になり、最大電力は P_max = V_th²/(4R_s) で、リアクタンスが消えたあとなので直流の抵抗整合とまったく同じ値です。ただしこのとき電源内部の抵抗でも同じ電力が熱として失われ、効率は半分なので、効率より信号の強さが大事な場面で使う方法です。アンテナと送信機、RF 段の間の整合回路は、どれもこの共役整合を合わせています。

観察|I| = Vth / |Zs + ZL|
インピーダンスの大きさが電流を定める。
選ぶXs + XL = 0 → XL = ?
まずリアクタンスを打ち消す。
空欄RL = ?
残りは抵抗の整合。
自分でZL = ?
負荷は電源の共役インピーダンス。

最初の画面に戻ると

負荷リアクタンス X_L を動かすと電力曲線上の点が山を上り下りし、X_L = −4Ω で二本の点線が交わる頂に届きました。そこでは電源の +j4 と負荷の −j4 が直列で打ち消し合ってインピーダンスの虚部が消え、電流が最大になって電力が跳ね上がりました。抵抗はすでに R_L = R_s に合わせてあったので、リアクタンスの打ち消しと抵抗の整合を合わせると、負荷は電源の共役 Z_s* = 4 − j4Ω です。直流の抵抗整合が、交流では共役整合へと育ちます。

交流で負荷へ届く電力は、負荷インピーダンスが電源インピーダンスの共役のとき、つまり ZL = Zs = Rs − jXs のときに最大になります。負荷リアクタンスで電源リアクタンスを打ち消し(XL = −Xs)インピーダンスの虚部を消し、残った抵抗を RL = Rs に合わせる二段階です。そのとき電流が最大になり Pmax = Vth²/(4Rs)、リアクタンスが消えたあとの直流の抵抗整合と同じ値に達します。アンテナと RF の整合回路の基本原理です。