周波数変調 FM
周波数は揺れても振幅は一定
上の淡い金色の曲線がメッセージ、下の青い波形が FM で変調された搬送波です。スライダーで偏移を大きくすると、メッセージの山の下では搬送波の山が詰まり、谷の下では間延びします。その間、波形の上下にある金色の点線、つまり振幅はまったく動きません。
周波数にメッセージを載せる
AM が振幅を揺らしたのに対し、FM は振幅をそのままにして、搬送波が 1 秒に何回振動するか、つまり瞬時周波数をメッセージに合わせて押したり引いたりします。瞬時周波数は f(t) = fc + kf m(t) と書き、メッセージの値が大きいほど搬送波は速く振動します。振幅が変わらないので、包絡線は図の金色の点線のように平らな直線になります。
変調指数 β が幅を決める
瞬時周波数が搬送波周波数から最も大きく外れる量を周波数偏移 Δf といいます。これをメッセージ周波数 fm で割った β = Δf/fm が FM の変調指数です。β が 1 より小さければ周波数がわずかに揺れるだけの狭帯域 FM、1 より大きければ周波数が大きく振れる広帯域 FM です。位相は周波数を時間で積分したものなので、信号は s(t) = Ac cos(2π fc t + β sin(ωm t)) と書けます。
カーソンの法則と雑音への強さ
FM の帯域幅は、カーソンの法則により B = 2(Δf + fm) と見積もります。偏移を大きくするほど、帯域を多く占めるということです。その代わり情報は周波数にしかないので、受信機はリミッタで振幅を一定の大きさに切りそろえ、振幅に乗った雑音をまとめて捨てられます。広い帯域を差し出して雑音への強さを買う、この取引が FM の核心です。
最初の画面に戻ると
偏移を大きくすると、メッセージの山の下では搬送波がさらに詰まり、谷の下ではさらに間延びしましたが、金色の点線で描いた振幅は最後まで平らなままでした。偏移が 0 に近い最初の状態は搬送波がそのままで、変調がないのと同じなので赤く表示され、β が十分に大きくなって広帯域 FM になるとメーターが金色に変わりました。FM で覚えておくべきは、メッセージが振幅ではなく瞬時周波数にあることです。だから振幅に乗った雑音は切り捨ててかまいません。
次のユニットで
AM と FM で、アナログ変調はひと区切りです。次のユニットからは、メッセージを数に変えます。まず、連続信号を一定の間隔で標本化し、その値を段に区切ってビットで書き表す PCM を見ます。十分に頻繁に標本をとれば元の信号をそのまま復元できる、という標本化定理が出発点です。