デジタル変調 ASK·FSK·PSK
同じビット、三つの手がかり
ASK・FSK・PSK を順に押してみよう。同じビット列 1 0 1 1 0 が、振幅を入り切りする、周波数を二つに替える、位相を反転する、三つの波形で現れる。
搬送波の三つの手がかり
正弦波を一本書けば s(t) = A cos(2π f t + φ) だ。人が手を出せる量は振幅 A、周波数 f、位相 φ の三つだけ。デジタル変調はビット 0 と 1 に、この三つのうち一つの二値を対応させ、ビットが変わるたびにその手がかりをカチッと回す。どの手がかりを選ぶかが方式の名を決める。
ASK, FSK, PSK
ASK は振幅を入り切りする。1 なら搬送波を送り 0 なら止める最も単純な方式だが、情報が振幅にあるため振幅雑音にそのまま揺れる。FSK は振幅を一定にして周波数を二つに替え、振幅雑音に振られにくい。PSK は振幅と周波数を固定し、位相を 0 と π で反転する。同じ信号電力で 0 と π は星座図で最も離れた二点なので、三つの中で雑音に最も強い。
ビットを束ねてシンボルに
位相を二つでなく四つ、八つに増やせば、一回のシンボルがより多くのビットを運ぶ。M 個の位相を使えばシンボルあたり n = log₂ M ビットだ。4-PSK はシンボルあたり 2 ビット、8-PSK は 3 ビット。ただし同じ円上に点が増えるほど点の間が狭まり雑音に弱くなる。速く送りたい欲と雑音に耐える安全の取引が、次のユニットの帯域幅とシンボル率の話につながる。
最初の画面に戻ると
ASK ではビット 1 ごとに搬送波が点き 0 ごとに消え、FSK では振幅はそのままに周波数だけが二つに分かれ、PSK では 0 が来るたびに位相が反転した。三つとも同じビット列を同じ搬送波に載せただけで、振幅・周波数・位相のどの手がかりを回したかが違うだけだった。そして位相を使う PSK が同じ電力で雑音に最も強かった。デジタル変調で聞き取るべきはただ一つだ。
次のユニットで
シンボルをより速く送る、あるいは一シンボルに多くのビットを詰めると速いが、どちらも限界がある。次は与えられた帯域幅でシンボルをどれだけ速く送れるか、シンボル率と帯域幅がどう結びつくかを見る。ナイキスト信号率と一秒・一ヘルツあたりのビット効率がその出発点だ。