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高校2~高校3年生 (16-18歳)

地学 海水の運動 わかりやすく

Ocean Dynamics

海の上を風が長く吹くと、摩擦で表層の水が引きずられますが、地球が自転しているため、水は風の向きにそのまま流れず、北半球では右へ、南半球では左へそれて流れます。 深くなるほど流れはさらに回りながら弱くなり(エクマンらせん)、これらの層をすべて合わせた正味の移動であるエクマン輸送は、風と直角になります。 エクマン輸送が水を一方に集めると海面が傾き、圧力傾度力と転向力がつり合った地衡流が生まれ、海岸では風向きによって湧昇や沈降が起こります。 図で風速と緯度を変えると、上から見たらせんの向きと大きさ、そして深さとともに海流がどれだけ速く弱まるかをいっしょに見られます。

風が海を動かすしくみ

🌊 風と転向力
①熱い飲み物の表面を吹くと表面が押し流されるように、海の上を吹く風も摩擦で表層の水を引きずっていく
②地球が自転しているため、動く物体には転向力がはたらき、北半球では右へ、南半球では左へ曲がる
③そのため表層の海流は風の向きからずれて流れ、その下の層はさらに大きく回る
④赤道では転向力が0なので、このような曲がりはほとんど起こらない

エクマンらせんとエクマン輸送

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エクマン輸送の向き
北半球:風の直角右向き / 南半球:風の直角左向き
表層からエクマン層の底までのすべての層の流れを合わせた、正味の移動の向き
📐 図から読み取ること
①表層の海流は風から約45°ずれ、北半球では右へ、南半球では左へ流れる
②一層下がるごとに向きが同じ側へさらに回り、速さが小さくなるので、矢印の先がらせんをえがく
③エクマン層の底では、流れは表層とほぼ逆向きで、速さは表層の約4%しかない
④風が強いほど表層の海流は速く、エクマン層は深くなり、同じ風速なら転向力の小さい低緯度ほどエクマン層が深い
⑤すべての層を合わせたエクマン輸送(緑の破線)は風と直角である

地衡流:海面の傾きと転向力のつり合い

地衡流のつり合い
圧力傾度力 = 転向力 → 等海面高線に平行な流れ
エクマン輸送がつくった海面の傾きが保たれるあいだ流れつづけ、海洋の表層循環の大きな流れになる
🏔️ 海面にも丘と谷がある
①亜熱帯の海では、エクマン輸送が水を大洋の中央に集め、海面が1 mほど盛り上がる
②水は海面の高い所から低い所へ向かう圧力傾度力を受ける
③動き出した水に転向力がはたらき、二つの力がつり合うと、水は等海面高線にそって流れる(地衡流)
④北半球の地衡流は、海面の高い側を右に見て流れる
⑤黒潮や湾流のような亜熱帯循環は、このようにして保たれる
西岸強化
大洋の西岸境界流(黒潮、湾流)≫ 東岸境界流(カリフォルニア海流、カナリア海流)
緯度によって転向力が大きくなる効果(β効果)のため循環の中心が西にかたより、西側の海流がせまく深く速くなる

湧昇と沈降

比較

湧昇と沈降
区分湧昇(Upwelling)沈降(Downwelling)
原因表層水が沖へ運ばれ、深い所の水が上がってくる表層水が集まって下へ沈む
沿岸では風が海岸と平行に吹き、エクマン輸送が沖へ向かうときエクマン輸送が岸へ向かうとき
水温冷たい水が上がって表層の水温が下がるあたたかい表層水が下へ沈む
栄養塩栄養塩が多く、プランクトンが増えて漁場ができる栄養塩が少ない
例ペルー沖、カリフォルニア沖亜熱帯循環の中央(サルガッソー海)
🐟 湧昇と漁場
①湧昇域では、栄養塩の多い深い水が表層に上がってくる
②日の当たる表層で植物プランクトンが大きく増え、それを食べる動物プランクトンや魚が集まる
③ペルー沖、カリフォルニア沖、アフリカ北西岸沖、アフリカ南西岸沖の大きな漁場は沿岸湧昇域にある
④エルニーニョが起こるとペルー沖の湧昇が弱まり、カタクチイワシの漁獲量が大きく減る

例題と過去問で確認

例題 1
北半球の外洋で風が一定に吹くとき、表層海水全体(エクマン輸送)は風の方向に対してどちら側へ移動するか?
1
転向力(コリオリ効果)により表層海流は風の方向から次第にそれる。
2
深さごとの海流をすべて合計すると、北半球では風の方向の直角右へ正味移動する(エクマン輸送)。
▸ 風の方向の直角右(北半球)
南半球では直角左向きになる。図で緯度を負にすると、らせんと緑の矢印が上下に反転する。
例題 2
風が海岸に平行に吹いて表層水が沖へ押し出されると、その空いた場所を埋めに何が上がってきて、漁場にどんな影響を与えるか?
1
エクマン輸送で表層水が沖へ抜けると、その場所を埋めに深部の冷たい海水が上がってくる(沿岸湧昇)。
2
深層水には栄養塩が豊富で植物プランクトンが繁殖 → 良い漁場が形成される。
▸ 冷たい深層水が湧昇 → 栄養塩が豊富 → 良い漁場
ペルー沖やカリフォルニア沖の豊かな漁場は沿岸湧昇のおかげで、エルニーニョで湧昇が弱まると漁獲量が大きく減る。
定期テスト類題
海水の運動についての説明として正しいものは?
①北半球でエクマン輸送は風の方向の直角左である
②沿岸湧昇が起こると栄養塩が豊富になり良い漁場が形成される
③地衡流は水圧傾度力と転向力が釣り合わないときに生じる
④エクマン螺旋では深くなるほど海流の速度が速くなる
⑤沈降海域は栄養塩が豊富である
▸ ② 沿岸湧昇が起こると栄養塩が豊富になり良い漁場が形成される
1
湧昇は栄養塩が豊富な冷たい深層水を表層へ持ち上げ、プランクトンの繁殖と漁場形成を助ける。
2
北半球のエクマン輸送は直角右で(①)、地衡流は2つの力が釣り合うときに生じ(③)、エクマン螺旋は深くなるほど遅くなり(④)、沈降海域は栄養塩が乏しい(⑤)。

総まとめ

海水運動の核心
風 → エクマン輸送(直角)→ 海面の傾き → 地衡流 → 海洋循環
風のエネルギーが転向力を通して海の大きな循環になる
🎯 試験ポイント
①エクマン輸送は風の直角方向(北半球は右、南半球は左)
②エクマンらせんでは、北半球で深くなるほど海流が時計回りに回り、弱くなる
③地衡流は圧力傾度力と転向力がつり合った流れで、等海面高線にそって流れる
④西岸強化のため、大洋の西側の海流はせまく速い
⑤沿岸湧昇は、風が海岸と平行に吹いてエクマン輸送が沖へ向かうときに起こり、よい漁場をつくる

最終更新

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