seegongsik
高校2~高校3年生 (16-18歳)

化学 反応エンタルピー わかりやすく

Reaction Enthalpy

カイロは鉄がさびる反応で出る熱で温まり、冷却パックは硝酸アンモニウムが水に溶けるときに熱を吸収して冷たくなります。 反応が熱を出すか吸収するかは、生成物と反応物のエンタルピーの差 ΔH で表し、ΔH が負なら発熱、正なら吸熱です。 反応物の結合を切るにはエネルギーが要り、生成物の結合ができるときにはエネルギーが出るので、結合エネルギーから ΔH を見積もれます。またエンタルピーは初めと終わりの状態だけで決まるので、いくつかの反応を足し引きして ΔH を求めることもできます(ヘスの法則)。 図では、ΔH によって変わるエネルギーの山、H₂ と Cl₂ が HCl になるあいだのエネルギーの出入り、炭素が二酸化炭素になる二つの道すじが見られます。

エネルギーの山を越える

💡 山越えの道にたとえると
①反応物が生成物になるには、遷移状態というエネルギーの高い山を越えなければならない
②山の高さが活性化エネルギー Eₐ。反応が始まるには少なくともこれだけのエネルギーが要る
③到着地(生成物)が出発地(反応物)より低ければ、その差のぶん熱を出す。発熱反応で ΔH < 0
④到着地が出発地より高ければ、その差のぶん熱を吸収する。吸熱反応で ΔH > 0
⑤ΔH は出発地と到着地の高さの差にすぎないので、山の高さ(Eₐ)とは別に決まる

エンタルピーの図を読む

−40 kJ
🔍 スライダーで確かめること
①ΔH を負にすると、生成物は反応物より下に来る。発熱だ
②ΔH を正にすると、生成物は上へ上がる。吸熱だ
③どちらの場合も、反応物はまず遷移状態の頂上まで上がらなければならない
④吸熱反応では Eₐ は ΔH より大きい。生成物がすでに反応物より高いので、山の頂上はそれよりさらに高くなければならないからだ

結合エネルギーから ΔH を求める

30%
結合エネルギーから ΔH を求める
ΔH = Σ(反応物結合エネルギー) − Σ(生成物結合エネルギー)
切る結合が吸収するエネルギーから、新しくできる結合が出すエネルギーを引く
💡 この式が成り立つ理由
①どの反応も、反応物の結合を切る段階と生成物の結合をつくる段階の二つに分けて考えられる
②結合を切るにはいつもエネルギーが要る。図の前半で H–H 436 kJ と Cl–Cl 243 kJ、合わせて 679 kJ を吸収する
③結合ができるとかならずエネルギーが出る。後半で H–Cl が 2 本でき、2 × 431 = 862 kJ を出す
④出したエネルギーが吸収したエネルギーより 183 kJ 多いので、ΔH = −183 kJ の発熱反応になる
⑤新しくできる結合が切れた結合より強いほど、多くの熱が出る

ヘスの法則

ヘスの法則
ΔH全体 = ΔH₁ + ΔH₂ + ΔH₃ + ⋯
反応の道すじによらず、全体のエンタルピー変化は初めと終わりの状態だけで決まる
生成エンタルピーで求める
ΔH = Σ(生成物の生成エンタルピー) − Σ(反応物の生成エンタルピー)
単体を 0 とした生成エンタルピーの表があれば、どんな反応の ΔH も計算できる
💡 道すじによらない理由
①エンタルピーはいまの状態だけで決まる状態関数だ
②山頂から海辺まで下る高さの差は、大通りを通っても小道を通っても同じ
③図で、C が O₂ と一度に反応しても −394 kJ、CO を経て二回に分けて反応しても −111 + (−283) = −394 kJ になる
④だから炭素を CO までだけ燃やす反応のように直接測りにくい反応の ΔH も、ほかの反応を足し引きして求められる

例題で確認

例題 1
H₂ + Cl₂ → 2HCl の ΔH を結合エネルギーから求めよ。(H−H = 436、Cl−Cl = 243、H−Cl = 431 kJ/mol)
1
切る結合(H–H 1 本、Cl–Cl 1 本)のエネルギーの和から、つくる結合(H–Cl 2 本)のエネルギーの和を引く。
ΔH = (436 + 243) − (2 × 431)
2
かっこを外して計算する。
ΔH = 679 − 862 = −183 kJ
▸ −183 kJ(発熱反応)
新しくできた H–Cl 結合 2 本が切れた 2 本の結合より強いので熱が出る。結合エネルギーの図で進みを最後まで上げたときの値だ。
例題 2
次の反応から C + ½O₂ → CO の ΔH を求めよ。(ア)C + O₂ → CO₂, ΔH = −394 kJ(イ)CO + ½O₂ → CO₂, ΔH = −283 kJ
1
求める反応は(ア)から(イ)を引いたものと同じ。(ア)−(イ)で CO₂ が消える。
C + ½O₂ → CO =(ア)−(イ)
2
ΔH も同じように引く。
ΔH = (−394) − (−283) = −111 kJ
▸ −111 kJ
ヘスの法則の図のまん中の段(CO + ½O₂)が、まさにこの −111 kJ。直接測りにくい反応を、測れる二つの反応から求めた。

まとめ

要となる式
ΔH = Σ(切る結合のエネルギー) − Σ(つくる結合のエネルギー)
または ΔH = Σ(生成物の生成エンタルピー) − Σ(反応物の生成エンタルピー)
韓国修能 類題
ある反応で反応物の結合エネルギー和が 1000 kJ、生成物が 1200 kJ である。この反応の ΔH と種類は?
①+200 kJ、吸熱
②−200 kJ、発熱
③+2200 kJ、吸熱
④−2200 kJ、発熱
⑤0 kJ、熱の出入りなし
▸ ② −200 kJ、発熱
1
ΔH = Σ(切る結合のエネルギー) − Σ(つくる結合のエネルギー) に代入する。
ΔH = 1000 − 1200 = −200 kJ
2
ΔH < 0 なので発熱反応。生成物の結合のほうが強い。
ΔH < 0 → 発熱
🎯 試験ポイント
①ΔH < 0 なら発熱反応で、生成物は反応物よりエネルギーが低く安定
②ΔH > 0 なら吸熱反応
③ヘスの法則:道すじによらず ΔH は初めと終わりの状態で決まる。反応式を足し引きすれば ΔH も足し引きする
④生成エンタルピー:単体から化合物 1 mol ができるときの ΔH
⑤活性化エネルギーは反応が起こるのに必要な最小のエネルギーで、ΔH とは別に決まる

最終更新

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