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高校2~高校3年生 (16-18歳)

電気化学 わかりやすく

Electrochemistry

乾電池の中では、電子を出しやすい金属と電子を受け取りやすいイオンが導線をはさんで離れているので、電子が導線を流れるあいだに電球をともせます。 このように自発的な酸化還元反応から電流を取り出す装置がガルバニ電池で、二つの電極の標準還元電位の差から起電力を計算します。 逆に外部の電源で電子を押し込み、ひとりでには起こらない反応を起こすのが電気分解で、流した電気量から析出する物質の量が求まります。 上の図では負極の金属を変えると起電力が変わり、下の図では硫酸銅水溶液の電気分解をガルバニ電池とくらべられます。

電子の流れが電気をつくる

💡 水車にたとえると
①高いところの水が低いところへ流れて水車を回すように、電子は手放したい側から受け取りたい側へ流れて仕事をする
②亜鉛は電子を出しやすく、銅イオンは電子を受け取りやすい。二つを導線でつなぐと、電子は亜鉛から銅のほうへ流れる
③二つの電極の電子の受け取りやすさの差が大きいほど、水の落差が大きいときのように起電力は大きい
④乾電池やスマートフォンの電池はガルバニ電池で、めっきや銅の精錬は電気分解だ

ガルバニ電池

Zn | Cu
🔍 電池の中で起きていること
①負極(−)の金属 M が電子 2 個を放出し、M²⁺ となって溶け出す。酸化だ
②その電子が導線を通って正極(+)の銅電極へ行く
③正極では溶液中の Cu²⁺ が電子を受け取り、銅として析出する。還元だ
④塩橋の K⁺ は Cu²⁺ が減っていく正極側へ、NO₃⁻ は M²⁺ が増えていく負極側へ動き、二つの溶液の電荷のつり合いを保つ。塩橋を外すと電流はすぐ止まる
⑤負極の金属を Mg にすると起電力は 2.71 V、Pb にすると 0.47 V。電子を出しやすい金属ほど起電力は大きい

標準電極電位

起電力の計算
E°電池 = E°正極 − E°負極
標準還元電位が大きいほうが正極(+)、小さいほうが負極(−)になる

標準還元電位

標準還元電位(25 ℃)
還元の半反応E° (V)
F₂ + 2e⁻ → 2F⁻+2.87
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu+0.34
2H⁺ + 2e⁻ → H₂ (SHE)0.00
Pb²⁺ + 2e⁻ → Pb−0.13
Fe²⁺ + 2e⁻ → Fe−0.44
Zn²⁺ + 2e⁻ → Zn−0.76
Mg²⁺ + 2e⁻ → Mg−2.37
Li⁺ + e⁻ → Li−3.04
💡 電位の表の読み方
①E° が大きいほど還元されやすい。電子を受け取りやすい
②E° が小さいほど、その金属は酸化されやすい。電子を出しやすい
③表から二つの半反応を選ぶと、上のほうが正極、下のほうが負極になり、起電力は二つの値の差
④Zn–Cu 電池は 0.34 − (−0.76) = 1.10 V
⑤どれも標準水素電極(SHE)を 0.00 V とした相対値

電気分解

ファラデーの法則
m = MItnF
m:析出する質量、M:モル質量、I:電流、t:時間、n:イオン 1 個がやりとりする電子の数、F:96500 C/mol(電子 1 mol の電気量)

ガルバニ電池と電気分解

二つの装置のくらべ
項目ガルバニ電池電気分解
エネルギー変換化学エネルギー → 電気エネルギー電気エネルギー → 化学エネルギー
自発性自発的(E° > 0)非自発的(外部電源が必要)
酸化が起こる電極負極(−)陽極(+)
還元が起こる電極正極(+)陰極(−)
利用例乾電池、燃料電池めっき、銅の精錬

例題で確認

例題 1
Zn–Cu ガルバニ電池の標準起電力 E° を求めよ。(E°(Cu²⁺/Cu) = +0.34 V、E°(Zn²⁺/Zn) = −0.76 V)
1
標準還元電位の大きい Cu が正極(+)、小さい Zn が負極(−)になる。
E°電池 = E°正極 − E°負極
2
二つの値を代入する。
E°cell = 0.34 − (−0.76) = 1.10 V
▸ 1.10 V
E° > 0 なので反応はひとりでに進み、電池として働く。上の図で負極を Zn にしたときの値と同じだ。
例題 2
CuSO₄ 水溶液を 2 A の電流で 5 分間(300 秒)電気分解するとき、陰極に析出する Cu の質量は。(Cu のモル質量 64 g/mol、F = 96500 C/mol)
1
流した電気量は電流 × 時間。Cu²⁺ 1 個が Cu になるには電子 2 個が要るので n = 2。
m = MItnF, It = 2 × 300 = 600 C
2
値を代入して計算する。
m = 64 × 6002 × 96500 ≈ 0.199 g
▸ 約 0.20 g
電気量 600 C は電子 600 ÷ 96500 ≈ 0.0062 mol で、その半分の約 0.0031 mol の Cu が析出する。析出量は電気量に比例し、n に反比例する。

まとめ

要となる式
E°電池 = E°正極 − E°負極
E° > 0 なら反応はひとりでに進み、電池として使える
韓国修能 類題
ガルバニ電池と電気分解についての説明として正しくないものはどれか。
①ガルバニ電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変える
②ガルバニ電池では酸化が起こる電極は負極(−)である
③電気分解は外部電源が必要な非自発反応である
④電気分解では酸化が起こる電極は (−) 極である
⑤どちらの装置でも、酸化と還元は同時に起こる
▸ ④ 電気分解では酸化が起こる電極は (−) 極である
1
電気分解では電源の + 極につないだ電極から電子が引き抜かれるので、その電極(陽極、+)で酸化が起こる。
2
だから ④「電気分解では酸化が起こる電極は (−) 極」は誤り。酸化が起こる電極が (−) なのはガルバニ電池のほうだ。
🎯 試験ポイント
①E°電池 = E°正極 − E°負極で、標準還元電位が大きいほうが正極
②ガルバニ電池は自発反応で、負極(−)で酸化、正極(+)で還元が起こる
③電気分解は非自発反応で、電源の + につないだ陽極で酸化、− につないだ陰極で還元が起こる。符号の関係が電池と逆になる
④ファラデーの法則:m = MIt / nF
⑤どちらの装置でも、電子を失う酸化と電子を得る還元は同時に起こる

最終更新

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