seegongsik
高校1~高校2年生 (15-17歳)

化学基礎 イオン結合 わかりやすく

Ionic Bond

ナトリウムのように電子を手放しやすい金属と、塩素のように電子を受け取りやすい非金属が出会うと、電子が片方へ移って陽イオンと陰イオンができます。 符号の逆な二つのイオンは静電気的な引力で引き合い、この引力でつながった結合がイオン結合です。 引力は距離の 2 乗に反比例するので、イオンが近づくほど急に強くなり、電荷が大きく小さなイオンほど結合が強く、融点も高くなります。 図の上段では電子が移るにつれて二つの原子の大きさが変わる様子を、下段では距離を広げたとき引力がどれほど速く弱まるかを確かめられます。

電子が一つ移ると

3 r₀
💡 図の二段を読む
①Na はいちばん外側の 3s 電子 1 個を手放して Na⁺ になる。外側の殻がまるごと空になるので、半径は 186 pm から 102 pm に縮む
②Cl はその電子を受け取って Cl⁻ になる。核の電荷は変わらないのに電子が増えて反発し合うので、半径は 99 pm から 181 pm に広がる
③結晶の中で二つのイオンが接する距離 r₀ は、半径の和の約 283 pm。これより近づくと電子雲どうしの反発が急に強まり、この距離で止まる
④距離を 2 倍にすると引力は 1/4、3 倍なら 1/9 になる。矢印がすぐ短くなるのは、引力が距離の 2 乗に反比例するからだ

クーロンの法則と格子エネルギー

クーロンの法則
F = kq1 q2r2
q₁、q₂:二つのイオンの電荷、r:イオンの中心間距離、k:クーロン定数
格子エネルギー
U ∝ |q₁||q₂| / r
イオン結晶 1 mol をばらばらの気体イオンにするのに必要なエネルギー。大きいほど結合が強い
🔍 電荷と大きさが融点を分ける
①電荷が大きいほど格子エネルギーは大きい。Mg²⁺ と O²⁻ は電荷の積が Na⁺ と Cl⁻ の 4 倍で、距離も近いので、MgO の格子エネルギー(約 3800 kJ/mol)は NaCl(約 790 kJ/mol)よりはるかに大きい
②電荷が同じなら、小さなイオンほど中心どうしが近く格子エネルギーが大きい。そのため NaF は NaCl より融点が高い
③格子エネルギーが大きいほどイオンを引き離しにくく、融点が高い。NaCl は 801 ℃、MgO は約 2800 ℃ で融ける

NaCl 結晶の組み立て

💡 イオン結晶の性質
①Na⁺ と Cl⁻ が縦横に交互に並び、どのイオンもすぐ隣には反対の電荷のイオンしかない。立体で見ると、一つのイオンを反対のイオン 6 個が取り囲む
②NaCl という化学式は分子一つを指すのではなく、Na⁺ と Cl⁻ の数の比が 1 : 1 であることを表す
③固体ではイオンがその場に固定されて電気を通さないが、融かしたり水に溶かしたりするとイオンが動けるようになり電気を通す
④力を受けて層が一つずれると同じ電荷どうしが向かい合って反発するので、イオン結晶は割れやすい

解いてみる

例題 1
ナトリウムイオン(Na⁺)と酸化物イオン(O²⁻)からなるイオン結合化合物の化学式を求めよ。
1
二つのイオンの電荷を確かめる。
Na⁺:+1、 O²⁻:−2
2
電荷の和が 0 になるようにイオンの数の比を決める。
2 × (+1) + 1 × (−2) = 0 → Na₂O
▸ Na₂O
Na⁺ 2 個の電荷が O²⁻ 1 個の電荷と打ち消し合う。化学式の下付きの 2 はこの数の比を書いたものだ。
例題 2
マグネシウム(Mg)と塩素(Cl)がイオン結合するとき、生成する化学式と各イオンを求めよ。
1
それぞれの元素がどんなイオンになるかを求める。Mg は電子を 2 個失い、Cl は電子を 1 個得る。
Mg → Mg²⁺ + 2e⁻、 Cl + e⁻ → Cl⁻
2
電荷の和が 0 になるようにイオンの数を合わせる。
1 × (+2) + 2 × (−1) = 0 → MgCl₂
▸ MgCl₂ (Mg²⁺, Cl⁻)
Mg が手放した電子 2 個を Cl 原子 2 個が一つずつ受け取る。だから Mg²⁺ 1 個に Cl⁻ 2 個が組になる。

まとめ

イオン結合ができる条件
金属原子 → 陽イオン、非金属原子 → 陰イオン → 静電気的な引力
電気陰性度の差が大きい金属と非金属の間でできやすい
2022 評価院 模試 化学Ⅰ 類題
アルミニウムイオン(Al³⁺)と酸化物イオン(O²⁻)からなるイオン結合化合物の化学式は?
①AlO
②Al₂O₃
③Al₃O₂
④AlO₂
⑤Al₂O
▸ ② Al₂O₃
1
電荷の和 (+3) × a + (−2) × b = 0 を満たす最も簡単な整数比 a : b を求める。
2
3 と 2 の最小公倍数 6 にそろえると a = 2、b = 3。
(+3) × 2 + (−2) × 3 = 0 → Al₂O₃
🎯 試験のポイント
①イオン結合は金属の陽イオンと非金属の陰イオンの間の静電気的な引力
②金属原子は陽イオンになると小さくなり、非金属原子は陰イオンになると大きくなる
③格子エネルギーは電荷の積に比例し、イオンの中心間距離に反比例する
④固体は電気を通さず、融解した液体や水溶液は電気を通す
⑤化学式は陽イオンを先に書き、電荷の和が 0 になる最も簡単な整数比で表す

最終更新

このページがお役に立ったなら支援する