seegongsik

CLUSTER · 意味の群

空の上のもの

14 字

字の話

気qì · キ · ケ気

甲骨文字の「氣」(旧字) は气(蒸気) + 米(米) — 「米を炊くときに立ち上る蒸気 = 目に見えないエネルギー」が原義。「氣」は古代中国の宇宙観の核 — 「気」は宇宙を動かす生命エネルギー、「気が流れる」「気を通す」など東洋医学・武術・哲学のすべての基盤概念。日本新字体「気」は米を「メ」に簡略化、中国大陸簡体字「气」は米そのものを取り除いて気だけ残した。

日本語の音読みは キ・ケ — 元気(げんき)・天気(てんき)・空気(くうき)・気分(きぶん)・電気(でんき)・人気(にんき) は キ系、気色(けしき) は ケ系。訓読みは いき (稀) — 「いきもの(生き物)」など。日本国民的挨拶 — 「元気ですか?(げんきですか?)」 = 「気が元の状態ですか?」 = 「お元気ですか?」、字義「元の気」 = 健康なエネルギー状態、「気」一字に日本人の挨拶文化全体が凝縮。

韓国の漢字音は「gi」 — 元氣(원기)・天氣(천기、稀)・空氣(공기)・氣分(기분)・電氣(전기)・人氣(인기, 「インギ」)。韓国も「ingi(人気)」がエンタメ用語の核。固有語「sum(sum, 息)」が補助。注意: 韓国漢字「gi」は同音衝突激しい — 氣・記・期・基・機 すべて同音。

中国語は qì、4声。簡体字「气」 — 气(qì)・天气(tiānqì, 天気)・空气(kōngqì, 空気)・生气(shēngqì, 怒る、字義「気を生む」)・气功(qìgōng, 気功)。重要: 「气功(qìgōng)」 = 中国伝統の身体修行法、「気を養う技」、太極拳・武当派・少林派など、東洋医学・武術の核心実践。「気」一字が東アジア身体哲学全体を貫く概念。

覚え方: 米を炊く蒸気 — 目に見えない生命エネルギーが字に。

読み方
中 qì 日 キ · ケ / いき
使われる言葉
  • 元気げんきenergetic / fine
  • 天気てんきweather
  • 空気くうきair
  • 天气tiānqìweather
  • 空气kōngqìair
  • 生气shēngqìangry / vitality
明míng · メイ · ミョウ · ミン明るい

甲骨文字の「明」は日(日) + 月(月) — 太陽と月、二つの最も明るい光源を並べて「明るい」を表した、最もエレガントな会意字の一つ。「明」 = 視覚的な明るさから「明らか・明白」という抽象概念へ拡張。

日本語の音読みは メイ・ミョウ・ミン — 説明(せつめい)・明確(めいかく) は メイ系、明日(みょうにち、格式)・光明(こうみょう) は ミョウ系、明朝(みんちょう、明朝体) は ミン系で中国王朝由来。訓読みは あ.かり・あか.るい・あき.らか・あ.ける — 明日(あした・あす、不規則!) 同じ語に三つの読み方が併存する日本語の代表的不規則語彙。

韓国の漢字音は「myeong」 — 明確(명확)・說明(설명)・明日(명일)・光明(광명)・明王朝(명왕조)。日本と意味重なり大。中国の明王朝の影響で「myeong」は東アジア共有の歴史用語。

中国語は míng、2声 — 明(míng)・明天(míngtiān, 明日)・明白(míngbái, 明らか)・明朝(míng cháo, 明王朝、1368-1644)。明王朝(1368-1644) は中国の漢族復興期で、印刷技術と海外貿易が世界最先端 — 鄭和の艦隊が東南アジア・インド洋・アフリカまで航海した世界史上の大時代。「明朝体」は明代の印刷字体から命名された、印刷史の名残。

覚え方: 日(太陽) + 月(月) — 二つの光源が並んで「明るい」。

読み方
中 míng 日 メイ · ミョウ · ミン / あ.かり · あか.るい · あき.らか · あ.ける
使われる言葉
  • 明日あしたtomorrow
  • 説明せつめいexplanation
  • 明白めいはくobvious
  • 明天míngtiāntomorrow
  • 说明shuōmíngto explain
  • 光明guāngmíngbright / light
天tiān · テン天

甲骨文字の「天」は人の正面像 + 一本の横線(頭の上) — 「人の頭の上 = 空・天」が原義。古代中国の宇宙観で「天」は最高神格、皇帝は「天子(天の子)」と称された。

日本語の音読みは テン — 天皇(てんのう)・天空(てんくう)・天気(てんき)・天才(てんさい)・天国(てんごく)・天文学(てんもんがく)。訓読みは あめ・あま — 天の川(あまのがわ、銀河)・天降る(あまくだる、退職官僚の再就職)・天井(てんじょう、混読)。日本独自 — 「天皇(てんのう)」 = 字義「天の皇帝」、世界最古の王朝(神話によれば紀元前660年) と公称される日本王室、漢字一字に2,700年の歴史。「天下り(あまくだり)」 = 字義「天から降りる」 = 高官が退職後民間企業に再就職する慣習、日本独自の労働文化批判語。

韓国の漢字音は「cheon」 — 天皇(천황)・天國(천국)・天才(천재)・天文學(천문학)・天主教(천주교、カトリック)。固有語「haneul(haneul, 天)」が日常勝者、漢字「cheon」は熟語専用。注意: 「cheon」は同音衝突 — 天・千・川・泉 すべて同音。

中国語は tiān、1声 — 天(tiān)・天空(tiānkōng)・天气(tiānqì, 天気)・天才(tiāncái)・天安门(Tiān'ānmén, 天安門)・天津(Tiānjīn, 天津市)。 中国独自 — 「天安门(Tiān'ānmén)」 = 北京の門・広場、明清王朝の正門、現代中国の政治中心、毛沢東の建国宣言の場所(1949)、1989年の歴史的事件の場所、世界で最も有名な「天」字の用例。

覚え方: 人(大) + 一(頭の上) — 人の頭の上に広がる空 = 天。

読み方
中 tiān 日 テン / あめ · あま
使われる言葉
  • 天気てんきweather
  • 天才てんさいgenius
  • 天の川あまのがわMilky Way
  • 天气tiānqìweather
  • 今天jīntiāntoday
  • 天空tiānkōngsky
空kōng · クウ空

甲骨文字の「空」は穴(穴) + 工(音符) — 「穴のように空っぽ」が原義、後に「空っぽの広い空間 = 空」へ意味拡張。物理的な「空(から)」と空間的な「空(そら)」が一字で結ばれた。

日本語の音読みは クウ — 空気(くうき)・空港(くうこう)・空間(くうかん)・空腹(くうふく)・空想(くうそう)・真空(しんくう)・航空(こうくう)。訓読みは そら・あ.く・から — 空(そら)・空く(あく、座席が空く)・空っぽ(からっぽ)・空手(からて、武道)。日本独自 — 「空手(からて)」 = 字義「空っぽの手 = 武器なしの手」、沖縄発祥の徒手武術、世界中に普及した日本武道の代表。「空(クウ、そら)」と仏教の「空(クウ、サンスクリット ŚūnyatāI)」 = 「すべてが本質的に空である」の哲学概念が一字に重なる、日本仏教思想の核漢字。

韓国の漢字音は「gong」 — 空氣(공기)・空港(공항)・空間(공간)・空想(공상)・航空(항공)・空席(공석)。固有語「haneul(haneul, 空)」「bida(bida, 空く)」が日常、漢字「gong」は熟語専用。

中国語は kōng、1声 (また kòng、4声で「空き・暇」の意味) — 空(kōng, 空っぽ)・空气(kōngqì, 空気)・天空(tiānkōng, 空)・空间(kōngjiān, 空間)・空军(kōngjūn, 空軍)・空(kòng, 暇)。声調分岐 — 1声「空」 = 「空っぽ・スカイ」、4声「空」 = 「空き時間・隙」、日本語にない中国語独自の意味分業。

覚え方: 穴(穴) + 工(音符) — 穴のように空っぽから空全般へ。

読み方
中 kōng 日 クウ / そら · あ.く · から
使われる言葉
  • 空そらsky
  • 空港くうこうairport
  • 空気くうきair
  • 天空tiānkōngsky
  • 空气kōngqìair
  • 空间kōngjiānspace
暗àn · アン暗い

甲骨文字の「暗」は日(太陽) + 音(音) — 「太陽が消えて音だけ残る」 = 暗闇、視覚を失って聴覚だけ残る情景の絵。「明(日 + 月)」と直接の対照 — 明 = 二つの光源、暗 = 光が消えて音だけ。

日本語の音読みは アン — 暗号(あんごう)・暗黒(あんこく)・暗示(あんじ)・暗記(あんき、字義「暗で記憶 = 視覚なしに覚える」 = 暗唱)・明暗(めいあん)。訓読みは くら.い — 暗い(くらい、字義通り暗い・気持ちが沈む両義)・暗がり(くらがり)・暗闇(くらやみ)。日本語独特 — 「暗い」は気持ちの暗さ・性格の内向性も指す比喩 — 「暗い人」「暗い表情」、性格描写の重要語彙、現代日本語の人間描写では「暗い vs 明るい」 が基本軸。

韓国の漢字音は「am」 — 暗號(암호)・暗示(암시)・暗黑(암흑)・明暗(명암)。意味重なり大。「amho(暗号)」 = パスワード、現代 IT 用語として日常頻出。固有語「eodupda(eodupda, 暗い)」が日常形容詞。

中国語は àn、4声 — 暗(àn)・暗号(ànhào, 暗号)・暗中(ànzhōng, ひそかに)・黑暗(hēi'àn, 暗黒)。中国独自 — 「暗中操作(ànzhōng cāozuò)」 = ひそかに操作する、政治・ビジネスの背後工作を指す中国語頻出表現、中国メディアで毎日のように登場する。

覚え方: 明(日+月の光) と対称、暗(日+音、光が消えて音だけ) — 日本語「明るい/暗い」は視覚を超えて性格まで描写。

読み方
中 àn 日 アン / くら.い
使われる言葉
  • 暗いくらいdark
  • 暗号あんごうcode
  • 暗記あんきmemorization
  • 黑暗hēi'àndarkness
  • 暗号ànhàosecret signal
  • 暗示ànshìhint / suggestion
星xīng · セイ · ショウ星

「星」は日(太陽・輝く点)が意味、生が音を担う形声字。本来は上に輝く点(日)が三つ(晶)あったが一つに減った — 夜空に生じた光、ほし。生は「xīng/sei」の音を貸す。

音読みは セイ・ショウ。訓読みは ほし。星(ほし)・星座(せいざ)・衛星(えいせい)・明星(みょうじょう, ショウと読む例)・流れ星(ながれぼし)。日本でほしは「容疑者・犯人」を指す刑事の隠語でもある。

韓国の漢字音は "seong" — 星座(seongjwa)・衛星(wiseong)・流星(yuseong)・北極星(bukgeukseong)。

中国語は xīng、1声。星星(xīngxing)・明星(míngxīng, スター)・星期(xīngqī, 曜日・週=「星の周期」)・火星(huǒxīng, 火星)。中国語では曜日を星期一(月)、星期二(火)と星で数える。

覚え方: 日のような光が生じる(生)もの — 夜空に生まれた小さな太陽、ほし。

読み方
中 xīng 日 セイ · ショウ / ほし
使われる言葉
  • 星座せいざconstellation
  • 流れ星ながれぼしshooting star
  • 明星míngxīngcelebrity
  • 星期xīngqīweek
晴qíng · セイ晴れる

甲骨文字の「晴」は日(太陽) + 青(青空) — 「太陽 + 青空 = 晴れ」、視覚的に直接的な絵。気象用語が日常感覚にそのまま結びつく。

日本語の音読みは セイ — 晴天(せいてん)・快晴(かいせい)・晴朗(せいろう)。訓読みは は.れる・は.れ — 晴れる(はれる)・晴れ(はれ)・晴れ着(はれぎ)。日本独特 — 「晴れ着(はれぎ)」 = 「晴れの日に着る着物」 = 慶事用の格式正装。「晴れの舞台」「晴れがましい」のように、「晴れ」が天気を超えて「公的・特別な場面」の比喩へ拡張する日本語独自の語感。

韓国の漢字音は「cheong」 — 晴天(청천)・快晴(쾌청)。固有語「makda(makda, 澄んでいる)」「gaen nalssi(gaeda, 晴れる)」が日常、漢字「cheong」は熟語のみ。注意: 韓国「cheong」は同音衝突 — 晴・青・清・廳・聽 すべて同音。

中国語は qíng、2声 — 晴(qíng)・晴朗(qínglǎng, 晴れ晴れと)・晴空(qíngkōng, 晴れた空)・晴天(qíngtiān, 晴天)。中国気象用語の核 — 中国の天気予報で「晴(qíng)」「阴(yīn, 曇り)」「雨(yǔ)」「雪(xuě)」が四大カテゴリー、テレビ天気予報のアイコンに必ず登場。

覚え方: 日(太陽) + 青(青空) — 視覚的に直接的な「晴れ」。

読み方
中 qíng 日 セイ / は.れる · は.れ
使われる言葉
  • 晴れはれclear weather
  • 晴れるはれるto clear up
  • 快晴かいせいfine weather
  • 晴天qíngtiānclear day
  • 晴朗qínglǎngsunny
雲yún · ウン雲

甲骨文字の「雲」は雨の下に渦巻きの形 — 雨を生む源として渦の絵が当てられた。中国簡体字は雨を捨てて渦巻だけ「云」になった — つまり甲骨文字の半分だけが残った進化の逆転現象。日本新字体は伝統字体「雲」をそのまま保持、繁体字も同じく「雲」。

日本語の音読みは ウン — 雲海(うんかい)・暗雲(あんうん)・風雲児(ふううんじ)。訓読みは くも — 雲行き(くもゆき、状況の比喩でも使う)・入道雲(にゅうどうぐも)・雲一つない(くもひとつない)。注意: 同音の「蜘蛛(くも、クモ)」と発音が完全に同じ — 文脈と漢字でしか区別できない、日本語の代表的同音問題。

韓国の漢字音は「un」 — 雲海(운해)・暗雲(암운)・風雲(풍운)。日本と意味重なる。固有語「gureum」が日常の「雲」、漢字「un」は熟語と人名で重要 — 韓国名「un」(雲・運両義) は男女両用の名前として現役。

中国語は yún、2声。簡体字「云」は古代から実は「雲」と別字 — 「云」は本来「言う」の意味で、『論語』の「子曰く」を「子云」(zǐ yún) と書く。現代簡体字改革で「雲」を「云」に統合した結果、「言う」と「雲」両方の意味を一字が担うようになった、漢字統合の珍しい事例。

覚え方: 雨の下に渦巻 — 雨を生み出す空のもの。簡体字は雨を抜いて渦だけ残った。

読み方
中 yún 日 ウン / くも
使われる言葉
  • 雲海うんかいsea of clouds
  • 雨雲あまぐもrain cloud
  • 白云báiyúnwhite cloud
  • 云彩yúncaicloud
電diàn · デン電

甲骨文字の「電」は雨の下に稲妻の形 — 雨と一緒に出る光の現象を、空から伸びるジグザグで表現。古代の人々にとって雷は神の力の現れだった。中国簡体字「电」は雨を取り除いて稲妻だけ残した。

日本語の音読みは デン (常用訓読みは慣用なし) — 電気(でんき)・電車(でんしゃ)・電話(でんわ)・電池(でんち)・停電(ていでん)。「電車」「電話」「電気」はすべて明治期の和製漢語 — 19世紀末の電気文明導入時に「電」+「車」「話」「気」で生まれた近代語が、中国・韓国に逆輸入されて漢字圏共通語になった。日本語の漢字創造力が東アジア全体の近代語彙を作った象徴的な字。

韓国の漢字音は「jeon」 — 電氣(전기)・電話(전화)・停電(정전)・電子(전자)。日本と意味重なるが、近代用語のほぼすべてが日本由来の和製漢語の輸入 — 19世紀末から20世紀初の朝鮮近代化において日本経由で電気文明の語彙が一斉流入した歴史。

中国語は diàn、4声。簡体字「电」 — 电(diàn)・电脑(diànnǎo, コンピュータ、字義「電気の脳」)・电视(diànshì, テレビ、字義「電気の視覚」)。電脳・電視は中国独自の20世紀後半の造語で、日本の「コンピュータ」「テレビ」(カタカナ外来語) と方針が真逆 — 中国は意味を漢字で構築、日本は音をカナで写す。同じ近代化に対する二つの言語戦略の対比。

覚え方: 雨の下に稲妻 — 雷雨そのものが字になっている。簡体字「电」は雨を抜いて稲妻だけ残った。

読み方
中 diàn 日 デン
使われる言葉
  • 電車でんしゃtrain
  • 電気でんきelectricity
  • 电话diànhuàtelephone
  • 电脑diànnǎocomputer
月yuè · ゲツ · ガツ月

甲骨文字の「月」は半月の絵 — 満月だと「日」と紛らわしいので、わざと欠けた形を選んだ古人の工夫。「太陽は丸、月は欠ける」というシルエット原則が3,000年生き残った。

日本語の音読みは ゲツ・ガツ — 一月 を「いちがつ」(暦の1月) と読むか「いちげつ」(一ヶ月の期間) と読むかで意味が完全に変わる、珍しい字。訓読みは「つき」 — 月見(つきみ)・三日月(みかづき)。「月」は平安時代の和歌から現代の俳句まで、日本人の秋の心象風景の中心。

韓国の漢字音は「wol」 — 一月(일월)・月曜日(월요일)・月給(월급)。日本と意味重なり大。ただし「お月見」のような風流文化は同じ漢字でも日本ほど深く根付いていない。韓国では満月を指す固有語「boreumdal」のほうが文化的に強い。

中国語は yuè、4声。基本意味は日本と同じ「月・一ヶ月」。中秋節の月饼(yuèbǐng) — 月の形の伝統菓子 — は中国独自の贈答文化で、毎年中秋前に流通する量は世界最大。日本の「月見団子」とは別系統の月文化。

覚え方: 半月のシルエット。完全な丸ではなく、わざと欠けて描く — それが「月」を「日」と区別させる古代の知恵。

読み方
中 yuè 日 ゲツ · ガツ / つき
使われる言葉
  • 月曜日げつようびMonday
  • 満月まんげつfull moon
  • 月亮yuèliangthe moon
  • 一月yīyuèJanuary
雨yǔ · ウ雨

甲骨文字の「雨」は天から線が下に落ちる絵 — 上の横線が空、下の点状の縦線が降る雨粒。3,000年経っても字の中に「降る雨」がそのまま見える、最も視覚的に忠実な気象字の一つ。

日本語の音読みは ウ — 梅雨(つゆ・ばいう)・降雨(こうう)・暴風雨(ぼうふうう)・雨天(うてん)。訓読みは あめ・あま — 雨降り(あめふり)・小雨(こさめ)・雨音(あまおと)・雨戸(あまど)。日本の梅雨は東アジアの中でも独特の長雨期で、6月の和歌・俳句の主題として千年単位で歌われてきた。「五月雨(さみだれ)」は旧暦五月の長雨で、芭蕉「五月雨を集めて早し最上川」が有名。

韓国の漢字音は「u」 — 暴雨(폭우)・降雨量(강우량)・雨季(우기)。意味重なり大。日常では固有語「bi」が「雨」、漢字「u」は熟語に出る役割分担。韓国の梅雨「jangma」は固有語で漢字を持たない — 日本の「梅雨」のような漢字+季語的位置づけは韓国にない。

中国語は yǔ、3声。「雨」単独で日常会話に頻出 — 下雨(xiàyǔ, 雨が降る)・大雨(dàyǔ, 大雨)・小雨(xiǎoyǔ, 小雨)。中国の四川省・湖南省は「梅雨」とは異なる「夜雨」文化があり、李商隠の名句「巴山夜雨」のように夜の雨は中国独自の文学題材。

覚え方: 四角い雲枠の中に四つの落ちる雨粒。字がそのまま絵になっている。

読み方
中 yǔ 日 ウ / あめ · あま
使われる言葉
  • 雨天うてんrainy weather
  • 梅雨つゆrainy season
  • 下雨xiàyǔto rain
  • 雨水yǔshuǐrainwater
雪xuě · セツ雪

甲骨文字の「雪」は雨(雨)の下に手(彗の簡略形) — 「雨が手で払えるほど軽い = 雪」。古代人の観察眼が字に直接残った例で、視覚詩のような構造。

日本語の音読みは セツ — 雪原(せつげん)・降雪(こうせつ)・除雪(じょせつ)・新雪(しんせつ)。訓読みは ゆき — 雪見(ゆきみ)・雪国(ゆきぐに)・初雪(はつゆき)・牡丹雪(ぼたんゆき)。川端康成『雪国』の冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は日本文学の象徴的一文 — 日本人にとって「雪」は北国の風景の代名詞、冬の季語の中心。

韓国の漢字音は「seol」 — 大雪(대설)・除雪(제설)・雪原(설원)。日本と用法重なる。固有語「nun」が日常で、漢字「seol」は熟語専用。注意: 韓国語の「nun」は雪と眼の同音同形で、文脈でしか区別できない — 韓国漢字音の代表的同音衝突。

中国語は xuě、3声。日常頻出 — 下雪(xiàxuě, 雪が降る)・雪人(xuěrén, 雪だるま)・雪景(xuějǐng, 雪景色)。中国詩の「雪」は北国の隠遁・清廉の象徴 — 杜甫「対雪」、王維「冬晚対雪憶胡居士家」、宋代の蘇軾まで一系の冬詩伝統が芭蕉にもつながる。

覚え方: 雨の下に手 — 手で払えるほど軽い、それが雪。

読み方
中 xuě 日 セツ / ゆき
使われる言葉
  • 雪国ゆきぐにsnow country
  • 初雪はつゆきfirst snow
  • 雪人xuěrénsnowman
  • 下雪xiàxuěto snow
日rì · ニチ · ジツ日

甲骨文字の「日」は円の中に点が一つ — 望遠鏡もない時代の人が、太陽の中の黒点まで見ていたのではないか、と想像させる絵。時を経て丸が四角に固まり、現代の形になった。「日」は繁体・新字体・简体すべて同形 — 漢字改革を一度も受けなかった、稀有な字。

日本語ではニチ・ジツ二系統の音読みが出番で分かれる。日記(にっき)・日曜日(にちようび) は ニチ系の日常語、平日(へいじつ)・祭日(さいじつ) は ジツ系の格式語。訓読みの「ひ」は朝日(あさひ)・夕日(ゆうひ) のように太陽そのものを直接指す。

韓国の漢字音は「il」 — 一日(일일)・休日(휴일)・生日(생일)。時間関連の漢字語ほぼ全部に「日」が入る。日本語との意味の重なりは大きい。

中国語は rì、4声で鋭く落ちる。意外なことに、現代中国語では「日」単独で「日付」を指す用法はかなり古風 — 日常会話では「天(tiān)」が勝つ。ただし複合語は健在 — 生日(shēngrì, 誕生日)・节日(jiérì, 祝日)・日本(Rìběn)。

覚え方: 窓枠の中に横線一本。窓が描ければ「日」が描ける。

読み方
中 rì 日 ニチ · ジツ / ひ · か
使われる言葉
  • 日本にほんJapan
  • 今日きょうtoday
  • 今日jīnrìtoday
  • 日本RìběnJapan
風fēng · フウ · フ風

甲骨文字の「風」は実は「鳥」の形 — 古代中国人は風を「大鳥(鳳)が羽ばたいて起こす」と考え、神話と気象を一字に合体させた。後に「凡」(声符) +「虫」(意符) の形声字へ整理 — 「虫」は風が運ぶ生き物の意味で、虫だけでなく風に乗るすべてのものを総称した。

日本語の音読みは フウ・フ — 風景(ふうけい)・台風(たいふう)・神風(かみかぜ)・風流(ふうりゅう)・風呂(ふろ、稀な フ 読み)。訓読みは かぜ・かざ — 風邪(かぜ、感冒の意味で漢字を当てた珍しい用法)・北風(きたかぜ)・風車(かざぐるま)・風上(かざかみ)。「神風(かみかぜ)」は1274・1281年のモンゴル侵攻を退けた台風と、後に第二次大戦の特攻隊員の呼称になった、二重の歴史的負荷を持つ単語。

韓国の漢字音は「pung」 — 颱風(태풍)・風景(풍경)・風波(풍파)・中風(중풍, 脳卒中)。日本と意味重なる。固有語「baram」が日常の「風」、漢字「pung」は熟語と「風流(풍류)」のような芸術概念で残る。

中国語は fēng、1声。日常頻出 — 风(fēng, 風)・风景(fēngjǐng, 風景)・台风(táifēng, 台風)・风水(fēngshuǐ, 風水)。「風水」は中国独特の地理思想で、日本にも渡来したが中国本場では現在も日常生活と建築設計に深く影響 — 北京・上海の高層ビルの設計まで風水師が関わる。

覚え方: 外側の「凡」が風の枠、中の「虫」が風に乗る生き物。古代の「風 = 鳥の羽ばたき」の名残。

読み方
中 fēng 日 フウ · フ / かぜ · かざ
使われる言葉
  • 台風たいふうtyphoon
  • 風船ふうせんballoon
  • 颱風táifēngtyphoon
  • 风景fēngjǐngscenery
このページがお役に立ったなら支援する