わかりやすく AI 確率 なぜ
明日は雨が降るでしょうか。投げたコインは表が出るでしょうか。世の中は、確かではないことでいっぱいです。だからといって投げ出すわけにはいかないので、私たちはそうしたことがどれくらい起こりそうかに数をつけます。0なら起こらず、1なら必ず起こります。このように起こりやすさを数であつかうのが、確率です。
起こりやすさに数をつける
前のレッスンでは、すでに集めたデータを平均と散らばりでまとめました。では、まだ起きていないことはどうあつかえばよいでしょうか。明日のことには、まだデータがありません。そこで、起こりやすさに数をつけます。
絶対に起こらなければ0、必ず起こるなら1、五分五分ならそのまんなかの0.5です。どんな確率も、0と1の間のどこかにあります。さいころのように、どの結果も同じくらい起こりやすいときは、ほしい結果の数を、すべての結果の数で割ればよいのです。
いろいろなできごとを押してみましょう。起こりやすさが0から1までの棒でえがかれ、パーセントでも表されます。
起こりやすさを棒の長さで見ると、ひと目で分かります。0に近いほど短く、1に近いほど長くなります。パーセントは、0から1までを100倍して読んだだけなので、0.5は50パーセント、0.25は25パーセントです。
さいころで5以上が出るのは5と6の二通りなので、起こりやすさは六つのうち二つ、つまり三つに一つです。でも、このように計算で決めた起こりやすさは、実際に投げてみた結果と本当に合うのでしょうか。
さいころをふる
さいころの目は六つで、どの目も同じくらい出やすいので、ある目が出る確率は六つに一つです。でも、ちょうど六回ふったからといって、どの目も一回ずつ出るわけではありません。たまたま3が三回出ることもあります。
おもしろいのは、ここからです。少ししか投げないと結果はばらばらですが、たくさん投げるほど、それぞれの目が出た割合は六つに一つにだんだん近づいていきます。これを大数の法則と呼びます。
ふるボタンを押してみましょう。前もって決めておいた順番どおりに次の目が出て、投げるほど、それぞれの目の割合が6分の1に近づきます。
最初は、棒がでこぼこでした。よく出る目もあれば、あまり出ない目もありました。でも、ふり続けると、六本の棒がだんだん同じくらいの高さにそろいました。
だから、一度や二度の結果で決めつけてはいけません。たくさん集めて、はじめて本当の姿が見えてきます。機械学習が例をたくさん集めようとするのも、そのためです。では、二つのことがいっしょに起こる起こりやすさは、どう求めればよいでしょうか。
二つのことがいっしょに起こる
コインを投げて表が出て、同時にさいころで6が出る起こりやすさは、どれくらいでしょうか。コインとさいころは、たがいに影響しません。このように関係のないできごとを独立といい、独立な二つのことがいっしょに起こる確率は、それぞれの確率をかけて求めます。
コインの表は二つに一つ、さいころの6は六つに一つなので、かけると十二に一つになります。ただし、一方がもう一方に影響するできごとなら、そのままかけてはいけません。たとえば、同じさいころが偶数で、しかも6である確率は、6ならもう偶数なので、六つに一つのままです。
二つのできごとを選んで組み合わせてみましょう。それぞれの起こりやすさがかけ合わされ、いっしょに起こる起こりやすさは、どちらよりも小さくなります。
二つの起こりやすさをかけたら、結果はどちらよりも小さくなりました。いっしょに成り立たなければならない条件が増えるほど、そのことはめずらしくなるので、当然の結果です。いくつもの幸運がいっぺんに重なりにくいのと同じです。
では、確率が何に使われるのかを見てみましょう。世の中が確かでないときでも、私たちは起こりやすさをくらべて、いちばん起こりそうな方を選べます。
いちばんありそうな方を選ぶ
確かには分からなくても、決めなければならないことはよくあります。そういうときは、候補ごとに起こりやすさをつけて、いちばん大きい方を選べばよいのです。ぼやけた写真の動物が猫である確率が0.7、犬である確率が0.2なら、猫と答える、というように。
まちがうこともありますが、いちばんありそうな答えです。候補の確率を全部足すと一になることも、覚えておきましょう。どれか一つは必ず答えだからです。AIも、まさにこうして答えを選びます。
ぼやけた写真を一つずつ押してみましょう。候補ごとに確率がつけられ、いちばんありそうな答えが選ばれます。確率が近いと、迷っているというしるしも出ます。
AIは、正解を知っていると決めつけません。いくつもの候補に確率をつけて、いちばん大きい方を答えとして出します。だから、確率が近いと自信が低く、一方が大きいと自信をもって答えます。
あとで扱う大規模言語モデルも、この考えの上に立っています。文を続けて書くとき、次に来る単語の候補ごとに確率をつけて、その中から一つを選ぶのです。
まとめ
まとめるとこうです。確率は、起こりやすさを0と1の間の数で表します。さいころのようにたくさんやってみると、割合が本当の確率に近づきます。たがいに影響しない二つのことがいっしょに起こる確率は、それぞれをかけて求めます。
そして、確かでないときは、いちばんありそうな方を選びます。AIも同じように、確率で答えを選びます。
要点を順に押して振り返りましょう。(起こりやすさを0〜1で → たくさんやると割合が落ち着く → いっしょはかけ算 → いちばんありそうな方を選ぶ)
これで、確かでないことを数であつかえるようになりました。つかみどころのなかった偶然が、0と1の間の数として手に取れるようになりました。
統計と確率がそろったので、いよいよデータから実際に決まりを取り出す番です。散らばった点の間をいちばんうまく通る直線を見つけ、次の値を予測する方法を、次のレッスン「線形回帰」で扱います。