わかりやすく 生成AI とは
前のレッスンでは、LLMが次の言葉を確率で選んで文章を書いていくのを見ました。でも、AIが作るのは文章だけでしょうか。一度もなかった絵を描き、新しいメロディを作り、短い動画まで作ります。しまっておいたものを取り出すのではなく、学んだパターンで新しいものを作り出しているのです。こうしたAIを生成AIと呼びます。
覚えるのではなく、新しく作る
LLMは次の言葉を確率で選び、一語ずつつないでいきました。ここで押さえておきたいことがあります。AIは読んだ文をまるごと保存しておいて、取り出しているわけではありません。たくさんの例から、何と何がどう合うかというパターンを身につけ、そのパターンでその場で新しい組み合わせを作り出します。
ただし、学習データにとてもよく出てきた文章や絵は、ほとんどそのまま作り直してしまうこともあります。そのため、生成AIの結果が他人の作品に似すぎていないか確かめる必要がある場合もあります。
「新しく作る」ボタンを押して、学んだかけらを組み直してみましょう。同じかけらでも、押すたびに違う組み合わせができます。
同じかけらなのに、押すたびに違う結果が出ました。覚えた答えを一つ取り出しているだけなら、毎回同じになるはずです。ウィジェットではかけらを組み合わせる形で単純に見せていますが、実際の生成AIはかけらを切り貼りするのではなく、学んだパターンに合わせて結果を一から作ります。
こうして新しく作り出すことを、生成と呼びます。では、作れるのは文章だけでしょうか。
文章だけでなく、画像も音楽も
文章を作るAIをLLMと呼びました。生成AIは、それより広いことばです。絵をたくさん学んだAIは新しい絵を作り、歌を学んだAIは新しいメロディを作り、動画を学んだAIは短い動画を作ります。
何を学んだかによって、作り出すものも変わります。LLMは、その中で文章を受け持つ一つの枝です。
文章、画像、音楽、動画のボタンを押して切り替えてみましょう。生成AIは学んだものに応じて何でも作れ、文章(LLM)はその一つです。
どれを選んでも、土台の考え方は同じでした。たくさんの例からパターンを身につけ、そのパターンで新しい組み合わせを作るということです。では、絵はどうやって作るのでしょうか。
絵は文章のように一語ずつつなぐわけではありません。いま広く使われている画像生成AIは、かなり違う方法を使います。
ざらざらのノイズから絵へ
絵を作るAIは、白い紙ではなく、ざらざらのノイズから始めます。テレビの電波が切れたとき、画面いっぱいに散らばる点のようなものです。そこから点を少しずつ整えていくと、ぼやけた点が一段ずつ片づいて、形が浮かび上がってきます。
整えるのを繰り返すほど、絵ははっきりしていきます。このやり方で絵を作るモデルを、拡散モデルと呼びます。
「整える」ボタンを押すたびに、ノイズの格子が一段ずつ片づき、ぼやけた点がだんだんハートの形に浮かび上がります。段階が決まっているので、誰が押しても同じ結果になります。
ノイズは一度に絵に変わったのではなく、少しずつ整えられてはっきりしていきました。AIは、この整える感覚をどうやって学んだのでしょうか。学習のときは逆の順番で進めます。本物の絵にノイズを少しずつ混ぜて崩し、ノイズを一段取り除いて元の絵に近づける方法を、たくさんの例で身につけるのです。
こうして学んだ感覚で純粋なノイズを整えると、世の中になかった新しい絵ができます。では、何を描くかは誰が決めるのでしょうか。
人が指示を出す、プロンプト
AIが勝手に何でも作るわけではありません。何を作るかを人がことばで伝えます。この指示をプロンプトと呼びます。プロンプトの文章は、前に学んだエンベディングのように座標に変えられ、整える向きを導きます。
猫と書けば猫のほうへ、宇宙と書けば宇宙のほうへ、整える向きが変わります。同じノイズから始めても、プロンプトが変われば結果が変わります。
プロンプトを押して切り替えてみましょう。同じノイズから始めても、書いた指示によって、整えていく先の絵が変わります。
プロンプトを変えると、結果の向きががらりと変わりました。生成AIは作る腕前を持っていて、人は何を作るかを決めます。ほしいものをはっきり具体的に書くほど、結果はほしいものに近づきます。
だから、何をどう書くかが、生成AIを使う腕前になります。同じプロンプトでも、出発点のノイズが違えば結果が少しずつ変わることも、知っておくとよいでしょう。
まとめ
まとめるとこうです。生成AIは、学んだパターンで新しいものを作ります。しまっておいたものを写すのではありません。作るのは文章だけでなく、画像や音楽、動画も作れるので、LLMより広いことばです。
絵はノイズから始めて、少しずつ整えて作ります。そして、人がプロンプトで向きを与えます。
要点を順に押して振り返りましょう。(学んだパターンで新しく作る → 文章だけでなく画像や音楽も → ノイズから整えて絵へ → プロンプトで向きを与える)
これで、生成AIが何なのかがわかりました。学んだパターンで文章や絵、音楽を新しく作り出す道具で、絵はノイズを整えて作り、向きは人のプロンプトで決めます。
けれども、これほど上手に作れると、本物と見分けにくい偽の写真や声も作れてしまいます。AIを公平に、責任をもって使うには何を考えればよいのか、次のレッスンで見ていきます。